セックス・ピストルズ、伝説のイギリス・ラスト・ライヴの映像作品がBBCで放映に

セックス・ピストルズ、伝説のイギリス・ラスト・ライヴの映像作品がBBCで放映に

ザ・セックス・ピストルズが1977年にイギリスで行った最後のライヴの映像が12月26日にBBCテレビで放送されると『ザ・ガーディアン』紙が伝えている。

映像はジュリアン・テンプル監督が当時撮影した映像を作品化したもので、『Never Mind the Baubles: Xmas '77 With the Pistols』として初めてその内容の全貌が明らかになる。この時のライヴはウェスト・ヨークシャー州ハダーズフィールドのアイヴァンホーズ・ナイトクラブで行われたもので、当時ストライキを決行していて、収入が断たれていた消防士の子供たちを支援するチャリティ・ライヴとして特別に行われたものだった。ティーンエイジャーやさらに幼い子供たち用に向けた昼間のライヴも、一般向けの夜のライヴと共に1977年の12月25日に行われることになった。

車のボンネットほどの大きさもあるケーキの摑み合いや投げ合いにもなったこのライヴの映像をテンプル監督は「デカくてボロいUマチックのビデオレコーダーで録画したものなんだ。でも、バンドを真正面から捉えたものになっているんだよ。ピストルズの映像としてはおそらく最高のものになってるけど、これまで明らかになったことがなかったんだ」と説明している。

この時の映像は、部分的にはテンプル監督の00年のピストルズ・ドキュメンタリー『NO FUTURE A SEX PISTOLS FILM』やピーター・スペンス監督による短編ドキュメンタリーでも使われたことはあるが、この伝説のライヴの映像が「驚異的なエネルギーとその神々しさの完全な形」で公開されるのは史上初のことだとテンプル監督は語っている。

また、印象的なのはピストルズの面々が昼間のライヴに詰めかけた子供たちに見せる表情だとテンプル監督は説明している。当時、ピストルズはその過激なメッセージ性のせいでほとんどのメディアから糾弾されていて、バンドの通常のライヴもイギリスでは公演禁止となっていて、まったく活動ができない状態にあった。そうした張りつめた時期に行われたライヴではあったのに、バンドは子供たちには違った表情を見せることになったとテンプル監督は振り返っている。

「当時、大半の人たちにとってピストルズはニュースで取り沙汰されている怪物だったんだよね。でも、7、8歳の子供たちに演奏を披露するバンドの姿は本当に美しいものだよ。確かに過激なバンドではあったけど、このバンドはみんなが思っている以上に心優しいグループだったんだよ」

また、今回の作品ではこの時のライヴに実際に出かけた客や子供たちの証言も収録されていて、現在警察官として活躍しているジェズ・スコットなる人物は17歳の時に目撃したこのライヴについて「ライヴそのものは最高だったよ、ものすごく興奮したね。"ボディーズ"も演奏したんだけど、観客には子供たちもいたからね、乱暴な言葉は一つも使ってなかったのをよく憶えてるよ」と振り返っている。

テンプル監督は作品について次のように解説している。
「あの日テレビでは何をやっていて、当時のクリスマスはどんな様子だったのか遡っていくような感じなんだ。1977年のクリスマス、これはあえてまた戻ってみるとすごくシュールなところなんだ。

ある意味でね、現代と直接繋がってるものってピストルズしかないくらいなんだよ。他のものはすべて、もうほとんど19世紀かって思えるくらいに古ぼけていて、その中でピストルズだけが現代的で、来るべきものを自覚している感じなんだよね。ただ、光熱費の高騰や消防士のスト騒ぎなどは、かろうじて現在のイギリスともちょっと響き合うところはあるけどね。まるで別の惑星という感じだけど、みんなが直面している問題は同じなんだよ。

カメラ1台だけで撮った音はもう生々しくて焼けつくようだから。今のキッズに観てもらって、『なんだこれ、こんなバンド、今じゃいねーよ』って驚いてもらえたら、本当に嬉しいね」

ピストルズはこのライヴの後、年末からアメリカ・ツアーへと乗り出し、1978年1月にバンドはそのまま解散した。
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