パール・ジャムら、今年に入って施行されたオバマケアのミュージシャンへの普及を支援
2014.02.01 12:30
アメリカでは医療保険制度改革による新制度(いわゆるオバマケア)が今年に入ってから施行されているが、ミュージシャンなどは特にこれまでなんの医療保険にも入っていないケースが多く、そうしたミュージシャンに向けて保険加入を勧める活動にパール・ジャムやジム・ジェームスらも支援を表明している。
新制度施行までアメリカでは患者全額負担の自由診療が医療の基本になっていたため、高齢者や低所得者層以外は任意で民間の医療保険に入ることになっていたが、その後、アメリカの国民の6人に1人が保険に入れなくなる事態に至ったため、ようやくオバマケアによって国民全員がなんかしらの形で保険に入ることが義務付けられる国民皆保険制度へ移行することになった。
ただ、もともと自由診療が基本になっていたため、個人が自分の予算に見合った保険を探してくるという形になっていて、今回の新制度施行によって変わったのは州ごとに開設された保険市場サイトで安価な医療保険プランを吟味して契約できるようになったということと、必ずなんかしらの保険には入らなければならなくなったということ。これまでミュージシャンなどは、収入が不安定なため医療保険に加わっていないケースが非常に多かったのだが、そんなミュージシャンにも加われるプランも揃っていることをパール・ジャムやジミー・ジェイムスら20アーティストが国の医療保険機関やNPO団体らと連携してSNSなどで広めているという。
たとえば、デス・キャブ・フォー・キューティのクリス・ウォラなどは90年代にスターバックス・コーヒーで働いていた頃から医療保険には入ったことがないと明らかにしていて、これまで個人で医療保険に入るのは高くつくし、仕組みもさっぱりわからないから敬遠していたと語っているが、今回の新制度について「これまで見たこともないような提案を見させられたね。掃除機とかオーブン・トースターを比較検討するように医療保険をいろいろ見較べて買うことができるようになってるんだよ。これはすごいことだよ」と語っている。
特にアーティストを目指す人たちには保険に加入していない割合が他の職業よりも圧倒的に高く、俳優、ミュージシャン、ヴィジュアル・アーティスト、ダンサー、映像作家などについての調査では、43パーセントが保険に無加入で全国平均の倍の数字になっているという。特にアーティスト全体の中ではミュージシャンの保険無加入率が最も高く、さらにミュージシャンの間でオバマケアについてわからない、あるいは自分への影響についてもわからないと調査で答えた割合は59パーセントにも上ったという。
こうした事態を考慮してNPOや政府系医療保険期間では、きちんとミュージシャンやファンに知識を伝えたいとしていて、「若い人たちには病気になったり怪我をしたらどうしようと不安を感じることなく、情熱を追求していもらいたい」と訴えている。