ACIDMAN のCOUNTDOWN JAPANクイックレポートアーカイブ
SEが淡々と響いていた暗闇の会場に白熱のライトがともった瞬間、満場のフロアからは大歓声! きた。今冬もACIDMANの登場だ。そんな彼らのステージは激しいインストの応酬となったオープニングから一転、ミニマムなアンサンブルが粛々と木霊する“リピート”へと、どこかストイックな印象を受ける幕開けとなった。しかしその後の“スロウレイン”のブレイクで一気に緊縛から解き放たれた爆音に煽られて、フロアからは自然にOiコールが巻き起こる。“River”~“Swayed”の流れは、優美なヴォーカル・パートと凶暴な牙と化したエクスペリメンタルなインスト・パートが交互に繰り出されるという、彼らの無尽蔵なイマジネーションを想起させるとんでもない出来。一音一音の強度がどんどん厳密に鍛え直されていく一方で、いったん解放された音が自由に、柔らかく飛翔していくそのコントラストが強烈だ。ACIDMANの音楽が聴覚だけではなく視覚にも「くる」のは、目の前で展開するこのめまぐるしい風景の変遷によるものではないだろうか。“波、白く”“飛光”では、それまでどこかクールだった大木のヴォーカルもダムが決壊したように荒れ狂い、昂ぶっていく。45分をかけて描かれた一遍の物語の完結に立ち会うような、そんな感動的なクライマックスがそこには待っていた。(粉川しの)