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 忌野清志郎と氣志團の間という出順は、アシッドマンのようなバンドには、正直不利な条件だったと思う。でも、彼らはそこをロックのみで正面突破してみせた。凄いライヴだった。1曲目、“Type A”の地を割るようなガシガシの轟音で一気に会場中の耳を奪う。そしてサビの絶唱で一気に会場中で握り締められた拳が挙がる。「2004年の始まりをこんなにも素晴らしいロックを愛する人たちと迎えられて光栄です。我々アシッドマンはこれからもロックで行きますので、よろしく!」とオオキ。“波、白く”“アイソトープ”と2003年の『Loop』からの曲が続く。『Loop』は、意志と想像力の力で2003年を射抜くロックを鳴らした、去年を代表する傑作アルバムだ。そのアルバムの音が今年初めの日、2万人の前に現実となって立ち現れているのだ。そこから一転、彼らのメロウサイドの代表曲“赤橙”“リピート”へ。ダブっぽい音響処理の靄がかかった音像の中でロックの硬い芯が浮かび上がる“swayed”は、アシッドマンが新しいロックの意志を音の一粒一粒にまで宿らせてしまっていることを証明していた。そしてラスト2曲、“アレグロ”“飛光”のタガが外れた激情が会場中を飲みこんでいった瞬間、フェスにまた新たなピークが刻まれた。2004年に入った瞬間からステージ奥に降りた、「ROCK AND ROLL 2004」と書かれた巨大な赤い幕。その赤にステージ中央に寄り添った3人が浮かび上がって見えるその姿が、ロックの勇気と闘志そのものに見えて仕方がなかった。美しい光景だった。(小杉俊介)