SEに合わせたオーディエンスのハンズクラップ、その大きな期待が生む神々しいほどのムードと共に登場したのは、ACIDMAN! 込み上げる想いを疾走感溢れるサウンドに託した“シンプルストーリー”での鮮やかな幕開けが見事だ。3人が奏でるサウンドの爆発力は、オーディエンスひとりひとりの想いをしっかりと受け止めていく強さがある。今年の夏のROCK IN JAPANでは大トリをつとめてくれた彼らの、頼もしいステージ。続く“ストロマトライト”でも更にエモーショナルなプレイを見せる。
「ACIDMANです。僕たちの音楽を知ってる方も、知らない方も、ここにいてくれることに感謝します。みんなで最高の瞬間を作って行きましょう」と大木伸夫(Vo・G)。その後の“赤橙”では、温かなメロディとサウンドに寄り添うようにオーディエンスのジャンプの波や手拍子が生まれていく。こうしたフェスで何度も演奏されてきた大切な名曲に、聴く人も色んな感情を重ねていることだろう。浦山一悟(Dr)と佐藤雅俊(B)のリズムもひとつの鼓動のように心を打つ。そして今年9月にリリースされたシングル曲“アルケミスト”のイントロでも歓声が沸き、ミディアム・テンポで繊細なアレンジの曲でも集中力の高い演奏で魅了する。スロウでディープ、そしてラウドなセッションで会場全体を巻き込んだ“spaced out”での表現力も圧倒的。凄まじい音像の移り変わりを体中に浴びせてくれた。
そして「先日、新曲を出しまして。世界は自分の考え方次第でどんどん変わる、それを信じて行こうじゃないかという歌です、聴いてください」と“新世界”を披露。激動の時代を生き抜くためのサウンドはハンパじゃなく鋭くタフなものだった。3人のその闘志に賛同するように手拍子が沸き、大木の吠えるような声が《今日、世界は生まれ変わる》とリフレイン。胸に突き刺さるような光景だった。その興奮のまま“ある証明”へ突入すると、どんな痛みも苦しみも不安も祈りに変えるような凄まじいエネルギーが会場全体を包み込んだ。
「あと1曲だけいいですか、大切な人を思い浮かべて、夜空の星空を思い浮かべながら聴いてください」と、ラストは壮大なメロディがEARTH STAGEいっぱいに広がった“ALMA”。その音の架け橋はきっとたくさんの人の想いを大切な人のもとへと運んだことだろう。最後の一音まで力強く鳴らしてステージを去った3人。ACIDMANがこの2012年の終わりに、また伝説のステージを見せてくれた。(上野三樹)
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