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ドラマチックかつ壮大な“最後の国(introduction)”のSEをバックに(早くもフロアから盛大なハンドクラップが!)、来年結成15周年&メジャー・デビュー10周年の節目を迎えるACIDMANがオンステージ! 登場するなり、ドラムス・イチゴの4カウントから“CARVE WITH THE SENSE”へと雪崩れ込み、アタックの強いビートと明滅するライトが瞬く間にフロアをヒートアップ。サビでは「CARVE WITH THE SENSE!」と、場内一丸の大合唱とハンズアップで一直線に最高潮へ! 前アクト、マキシマム ザ ホルモンが根こそぎ燃やし尽くしたかに思えたEARTH STAGEのフロアに新たな熱源を灯してみせる。早くも高揚感に満ちた場内を、「明後日は初詣に行きます。こんな当たり前のことを、こんな大勢の前で言うのは俺だけです(笑)」と、MCでイチゴが一気に弛緩させ(いや、いい意味で!って、フォローになってないか?笑)、他方、オオキはまるで壊れ物を扱うような繊細さでギターのレイヤーを重ね、三位一体のアンサンブルで“FREE STAR”投下! あらゆる苦悩を置き去りにして、歓喜の果てへと駆け上がるような多幸感に満ちたグルーヴが爽快にして壮絶だ。続けてACIDMANのメロウサイドを象徴するような“リピート”も披露。雄大かつ深淵なアンサンブルがオーディエンスのハンドクラップと溶け合って、場内は温かなヴァイブスで満たされた。

中盤、「久しぶりの曲をやりたいなと思います。何度も何度も、あきらめないで、光を探して、光を信じるという歌です。聴いてください――」とオオキが告げて鳴らされたのは、ファンの間でも支持率の高い“UNFOLD”。2007年に発表された楽曲だが、《それでも 誰でも また笑えるように 紡いで行くんだろう》というリリックは2011年以降の世界にこそ強い説得力でもって心に響く。続く“ある証明”の勇猛なビートと「マクハリ、行くぞー!!」(オオキ)とのアジテーションがフロアの熱をどこまでも高め(最終ヴァースのタガが外れたスパークはハンパじゃなかった!)、「最後は希望の歌を唄わせてください」と再びオオキがMC――「今年はいろんな哀しみが生まれた年ですが、最後の星に手を伸ばすように、光がちょっとでもある限り手を伸ばして、人間っていうのは絶対にあきらめない生き物だと思いますので、そんな祈りを込めて最後に唄いたいと思います」と、万感の思いを込めて届けられたのは“ALMA”。この時ばかりは、どんな悲観論者も口を閉ざして退散せざるをえないほど、圧倒的な希望の音色でオーディエンスを包んでみせたACIDMAN。お互いを称えるように拍手を送りあう両者の交歓は、必ずや2012年を生き抜く力となるはずだ。(奥村明裕)