ゆっくりとTOSHI-LOWが椅子に腰掛けると、Martinの叙情的なヴァイオリンの音が差し込む光線のようにキーンと響き渡る。そこから表情を一変、ギターとウッドベース、パーカッションとドラムが情熱的にリズムを刻み始める。OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDの6人のメンバーが一丸となって様々な色を持ち寄り、ひとつの絵画を描いているようで、その音世界の美しさは圧倒的だ。アイリッシュ・フォーク、カントリー、ラテンと世界各地の音楽を取り入れ、静と動を巧みに操るOAUのサウンドはひたひたと心の中に染み込んできて、穏やかな高揚が湧きあがる。「千葉県船橋市から来ました、BENNIE Kです。ウソです。あのー、すごいやせたんだよね。10何キロも。ね？（首をかしげるTOSHI-LOW）……ヒドイ。言ってくれたっていいのにね、やせたって」とそれまでの心地好い緊張をばっさりとぶった切るMartinのナイスMCで気分転換。呼びかけるように声を絞り出すMartinと、優しいのにずっしりと響いてくるTOSHI-LOWのツインヴォーカルも素晴らしいハーモニーを生み、会場は温かい手拍子と笑顔で包まれた。（林敦子）