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EARTH STAGE・3番手は奥田民生! ドラム:湊雅史、ベース:小原礼、キーボード:斎藤有太という鉄壁のバンド・メンバーとともにゆったり登場し、ステージ下手側でギターを構える民生、まずはソロ2nd『30』から"人間2"のへヴィ&エモーショナルなサウンドスケープでオーディエンスとがっちりギアを合わせると、"恋のかけら"のタフな歌声でゆったりと、しかししっかりとEARTH STAGEを民生ワールドに塗り替えていく。「ありがとーう! Perfumeです! 今日は僕たちの打ち込みサウンドを楽しんで、ダンシングで帰ってください!」と照れ隠しっぽいボケを挟みつつ披露したのは"ひとりカンタビレのテーマ"。「1人で全パートを演奏、1会場で1曲レコーディング完了して即配信」という前代未聞の『ひとりカンタビレ』ツアーでリスナーの度肝を抜いたOT2010の象徴とも言える、しかし肩の力の抜けた軽妙なナンバーだ。そこから一転、稲妻のようなオルガン・ソロから"海の中へ"ではハード・エッジ&サイケデリックなグルーヴで巨大な空間を呑み込んでみせたかと思うと、"サウンド・オブ・ミュージック"では強烈にうねるロックンロール・ビートをいたってカジュアルな体でぶん回してみせる。「いやいや、毎年毎年出さしていただいてありがとうございます! いろんな形で音楽をやり続けてるんで、来年もいろいろやるんでよろしくお願いします! みなさんも、身体に気をつけて、早く……名曲を作ってくださいね! だいたい1人1曲はできるもんなんで。よいお年を!(笑)」というオーディエンスへの無茶振り甚だしいMCも、あの民生の口調で言うとなんだか本当にできなくもなさそうな気がしてくるのが不思議だ。《最強はこれから 最強はこれから 最高の最強のこれから》のリフレインがそのまま奥田民生の超・自然体のメッセージとして響く"最強のこれから"。加速するビートを乗りこなすように民生の鮮やかなソロプレイが冴え渡る"イナビカリ"……栄養として身体に染み入る最高の音だけを吟味して鳴らした結果、ロックの核心を掴んでしまった、とでも形容したくなる民生のステージを締め括ったのは"解体ショー"。その楽曲を通して極限までロックのネタばらしをしながら、そこに新たなマジックを生み出す男・民生の本領発揮のようなアクトだった。(高橋智樹)