年末らしくベートーベンの“喜びの歌”に乗って民生登場。そしてそのSEをバーンと打ち破る景色の大きなサウンドが鳴り響き、1曲目“コーヒー”がスタート。オーディエンスも一気に解放され、拳が上がる。そして“イージュー☆ライダー”。屋内であることを忘れ、思わず天を仰いでしまった。実に気持ちよく突き抜けている。
やはり民生は大きなステージがよく似合う。気合いは十分なのに、ステージはまったく気負いがない。実に堂々とした、壮大かつ爽快なスケールを感じさせる。これだけの大観衆から逆放射状に押し寄せるエネルギーもすべて受け止める懐の深さが、民生にはある。よく格闘技の達人は相手の攻撃に反発せず、絶妙な力加減で受け止め衝撃を無にしてしまうというが、民生を観てるとそんなことを思いだす。こちらの想いをすっぽり受け止め、何倍にもして力強く投げ返してくれる。中盤、“息子”の一説「翼などないけれど 進め」。もう何度も聞いた歌なのに、こうしてまっすぐ力強い声で歌われると、やはりグッとくる。わかっていても踏み出せない自分の背中を、グッと押された気がした。だから民生は、ロックは、やめられない。
井上陽水の“最後のニュース”のカヴァーをはさんで、“マシマロ”。とぼけた歌詞とは反対の、ダイナミックに飛び跳ねるビートで一気に持っていかれる。フィナーレは“近未来”。ライトに照らされた客席は後方まで笑顔。民生からも「ヤッフゥー」という歓声がもれる。フェスにふさわしい、アーティストとオーディエンス双方が互いに楽しみ尽くしたライヴだった。夏から数えると7回目の参戦を果たしてくれた民生。「よいお年を!」のひと言を残し、フェスの守護神はステージを去った。(有泉智子)
「ステージからの景色が見てみたい!」 |
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