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年末から年始にかけて全国各地を巡るツアーの真っ只中である奥田民生。バリバリのライヴモード、バンドマンモードの姿を、思いっきり我々に示してくれた。
軽く手を振りながら、いつものように少々照れくさそうに登場した民生。彼が実に嬉しそうに刻んだギターが先陣を斬り、ライヴの幕は開けた。冒頭からアグレッシヴな曲を連発。時折バリバリにソロも奏で、メンバー達と共に分厚くてグルーヴィーなサウンドを奏でる民生は、まさしく「水を得た魚」とでも表現すべき活き活きとした表情を輝かせていた。

「ええ~、今年いろいろありましたけど……ベースの小原礼が還暦です! おめでと~! 還暦ですよ、どうなんですか? 君たち反応が甘いよ(笑)。君たちは60でここに来る自信があるのか? ちなみに渋谷陽一も還暦です! だからなんなんだって話ですが(笑)。わたしは還暦までもうちょっとあるけど、みなさんにもいつか来ますから、覚悟をしておいてね。そんな還暦を祝うツアー中に出させてもらっています。ありがとうございます。今日は『還暦おめでとう!』っていうのが、ほぼ言いたいこと全てです。だからあとは流して行こうかと(笑)。時間までよろしく」、そんなトボケたことを語りつつも、若造には決して出せないコクとキレのあるサウンドが全開でほとばしる。

「今年、あのう、私的にはアルバムを出してないのに忙しくて。それはきっと、あのコミックバンド(言うまでもなくユニコーンのこと)のせいだと思います。来年の頭にソロのシングルを出して、あとは……何とかしようと思います(笑)。1月はそれで盛り上げてください(笑)。では、そのシングル……じゃない曲を」、すっかり新曲“拳を天につき上げろ”を聴けるものだと思っていたお客さん達はズッコケつつ失笑。そして突入した後半戦は、カヴァーも交えた選曲。最強のプレイヤーが集っている民生バンドの圧倒的パワーを、最後の最後まで徹底的に体感することが出来た。(田中大)