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THE BACK HORNが生み出した狂騒をやさしく包み込むように、サウンド・チェック中から柔らかな音を響かせていたbonobos。1曲目“Mighty Shine,Mighty Rhythm”のトロピカルなサウンドが放たれた途端、GALAXY STAGEは南国へワープ。クマの耳のようなものが付いたアニマル帽を被った蔡(Vo/G)が両手を振ると、フロア中の手が揺れる。「♪ナーナーナナナ」のコール&レスポンスもバッチリ決まっていた。引いては押し寄せる波のように滑らかなアンサンブルがグルーヴを生み出す“sense of love”を経て、軽快なドラムやギターの音色が堪能できる“光のブルース”へ。そのまま“ライフ”へと突入し、フロア中の拳が突き上がる。オーディエンスはみんな、本当に気持ちよさそうに身体を揺らしている。「おっす! bonobosです!!」と挨拶をした蔡も、「は~い」と笑顔を振りまいた森本(B)も、とにかく楽しそう。
「来年でbonobos10周年です!」と言ってフロアを沸かせたあとは、bonobosきってのアンセム“THANK YOU FOR THE MUSIC”。どっしりとしたビートに乗って、地球上にある全てのモノを慈しむかのような歌が紡がれていく。自分の「弱さ」や「ちっぽけさ」と直面した末に「地球への畏怖」や「愛の偉大さ」へと到達したようなディープな歌。単に開放的なだけでなく、こういった深い思考を孕んでいるからこそ、bonobosの歌は聴く者の胸を揺さぶるし、万人の身体を揺らしてしまう力強いヴァイブを生み出すことができるのだろう。ラストは“ICON”“GOLD”というソウルフルなナンバーを高らかに鳴らして大団円。辛いことや苦しいことといった心の中にあるトゲをオブラートに包み込み、柔らかな風に乗せてフーっと吹き飛ばしてくれるような、終始心地よい30分だった。(齋藤美穂)