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本フェス皆勤賞であるアーティストの2組目であるDragon Ashは、これまでに6回もトリで出演してくれたことがある。今回はそのトリの記録が7回に更新される日となる記念すべき日だ。地鳴りのような歓声とハンドクラップで迎えられた彼らの1曲目は、最新アルバム『FREEDOM』から“運命共同体”。広大な大地を思わせる名曲を愛おしそうに歌うKjの姿だけで、すでに感慨深い。「いっちゃってもいいですかー!」という掛け声とともに“For divers area”が始まり、観客は完全なるダンス・モードにチェンジ。ラテンアレンジの“Let yourself go, Let myself go”ではRIP SLYME“楽園ベイベー”のサビをはさむというイキな仕掛けがあったりして、5万人の腕が稲穂のように揺れる光景は爽快だ。続く“Ivory”でもオーディエンスの頭上でタオルがぐるぐる回るのだから、こちらに息つく暇をあたえてくれるつもりはないようだ。さらに、「このフェスが10周年なので、僕ができることは音楽を作ることだけなので新曲を持ってきました」と、フェスをテーマに作った楽曲“Callin’”を本邦初披露。穏やかな表情でフェスを歌うKjの慈愛に満ちた眼差しは、実に感動的だった。しかし、彼らの攻撃は止まるところを知らない。“繋がりSUNSET”“Velvet Touch”“La bamba”という怒涛の3連チャンで観客の渦はとぐろを巻き、SBKからSHUNとSHIGEOが参加した“Episode6”を披露したあとは、間髪入れずに“Fantasista”を投下! 10-FEETのTAKUMAが現れてラップをかまし、ACIDMANの一悟と大木もステージに飛び出すというサプライズで会場はボルテージMAX! そして、熱を冷ますかのような“wipe your eyes”ではゲストの持田香織とともに一服の清涼剤のようなメロディを鳴らし、“静かな日々の階段を”がラストを飾ったのだった。

アンコールはもちろん、オーディエンスの誰もが期待していたあの曲、“Viva la revolution”だ。「このフェスが10年にわたって獲得してきた勝利と、これから獲得するであろう勝利に向けて歌います」と、闘志と革命の歌がしめやかに始まった。両腕をつきだして、何度も観客にマイクを向けるKj。その表情は何かをかみ締めているようで、彼にはロックの未来と自らのやるべきことが見えているんだろうな、と思わされた。会場に咲いた大量のピースと笑顔の花は、ひたちなかの風物詩。2日目のGRASS STAGEは最高のアクトで幕を閉じた。(上田智子)