園子温は、映画監督になるより前から詩人である。
だから彼の映画は、ときに詩になる。
井上三太の伝説のコミック『TOKYO TRIBE』を原作としたこの映画では、ヒップホップという「街」の音楽が持つ詩情と、園子温の映画文体が持つ詩情が大きな化学反応を起こした。
ひたすら興奮して楽しめる、園子温映画のなかでもかなり振り切ったエンターテインメント作品だが、同時に園子温映画のなかでも、最も詩情が剥き出しになった作品にもなった。
雨が降っても、地震が来ても、暴力や怒りやセックスやラブ&ピースを渦巻かせながら「街」の命は躍動し続けている。
その鼓動が感じにくい時代になったが、ヒップホップは今もその鼓動と共にある。
映画『TOKYO TRIBE』は、それをオーバーグラウンドに呼び覚ました。
8月30日公開。
明後日、6月19日(木)発売のCUTの特集「マンガと映画が愛しあうとき」に園子温×井上三太の対談も掲載してます。(古河)
園子温『TOKYO TRIBE』が呼び覚ました東京の街の詩情
2014.06.17 21:09