BUCK-TICKのアナーキー・イン・ザ・NHK

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BUCK-TICKは映画のようなバンドだ。昨年、25周年を機にバンド自身が映画化された(『劇場版BUCK-TICK〜バクチク現象〜)』ことはCUTの記事でも語ったが、バンドを映画に撮るまでもなく、すでにひとつのライブが映画そのものなのだ、と昨日のNHKホールでのツアーファイナルを観て改めて思った。
まどマギの魔女対決シーンで劇団イヌカレーが描いたような、あの耽美でシュールな世界を3次元で描けるバンドは彼らくらいしかいないだろうな。しかも25年以上前からやっていたという…。
ダダ〜シュール、ロシア・アバンギャルド、ドイツ表現主義などを彷彿とさせる映像やステージング(或いは赤いスカーフで覆面した今井寿の衣装)、サタン、ファントムといった「闇」なる世界の象徴、攻撃的なダンスビートと美しいメロディ――B-Tは「今」という時代の危うさを芸術的な表現で映し出す。60年続いた日本の非戦が揺らぎつつある不穏な世界と、そこへのアートによる「抵抗」が、最新アルバム『或いはアナーキー』には詰まっている。“DADA DISCO-GJTHBKHTD”や“SURVIVAL DANCE”といった最新作の楽曲と、“ICONOCLASM”“NATIONAL MDIA BOYS”といった初期の楽曲が、自然につながっていくことにバンドの意志を感じた。
“メランコリア”から“無題”、“形而上 流星”へ、深い闇にぐいぐい引き込まれる本編ラストは圧巻だった。
一方、黒色すみれ(現在上映中の映画『花宵道中』のエンディングも担当)をゲストに迎えた“VICTIMS OF LOVE with 黒色すみれ”〜“DIABOLO”の時空のねじ曲がり方も最高。彼らの特異な音と映像世界を体験すると、しばし戻れなくなっていつも困る……。今日が休日でよかった。(井上)
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