キング牧師の目指した栄光とは?

キング牧師の目指した栄光とは?
今年のアカデミー賞作品賞にもノミネートされ、コモンとジョン・レジェンドによるコラボ曲“Glory”が主題歌賞を受賞した『グローリー/明日への行進』(原題は“Selma”)。6月に日本公開が決定したこの作品をやっと観ることができた。
50年前、黒人の選挙権を求めセルマから行われたデモ行進を描いた同作。公民権運動を主導したキング牧師の言葉ひとつひとつに圧倒されるが、その感動は、政治的な問題からパーソナルなものに至るまでの彼のさまざまな葛藤と、ひとりの男としての人間くさい表情の数々に裏付けられている。非暴力を貫いた彼にとっては、仲間が殺されても、差別や、差別を続ける者たちは戦うべき敵ではなかった。歩くことで自由を求めるキング牧師たちに対して、黒人の権利を許したくない一心に暴力に走る者たちの狂気が際立つ。ジョン・レジェンドはアカデミー賞授賞式で、「私たちがこの曲を書いた映画は、50年前に起こったことを基にした作品です。しかし、『Selma』に描かれていることは今も起こっている」と語った。隣人が得をするのが許せない、そんな空気が蔓延する今の日本においても、痛切に響く作品だと思う。(川辺)
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