『HEY! HEY! HEY!』のときからそうで、多くの人が当たり前のように感じていることかもしれないけれど、ダウンタウンと、あまりテレビに出ないロック・アーティストが絡んでいるのは観ていて、面白いだけでなくて不思議な安心感がある。
もちろん出演する人はダウンタウンだということで、他の音楽番組とはまた別の緊張感があるはずだが、観ているほうはそうでもない。
ダウンタウンは、ほとんどの場合、出演アーティストのことを詳しく知らないし、多少知っていたとしても、「視聴者より知らない」ことを基本にしている。
でも大きな意味で、どのアーティストのこともちゃんとわかっていると思う。
それは公平な視点で正しく相手を観察し、批評し、そして敬意を持ちながら思いっきりツッコんだりイジったりしているからだ。
そして出演アーティストは、そんなダウンタウンのことをよくわかっているし、多くの場合はリスペクトもしている。
その言わなくても「わかっている」空気に安心するし、そこが好きだ。
昨晩の『HEY! HEY! NEO!』は、見所が多すぎて書ききれないくらいだけど、Ken Yokoyamaのコーナーで個人的にすごく印象深かったことがふたつ。
ひとつはKen Yokoyamaの紹介VTRで氣志團の綾小路翔が、メディアを使わずに商業的成功も収めた偉大な先駆者であることを説明したうえで「圧倒的にテレビ慣れしてないんですよ。ダウンタウンさんに我らがKen Yokoyamaをイジり倒してほしい」と言う絶妙のフリを投げたこと。
ダウンタウンもちゃんとわかっているし、Ken Yokoyamaもちゃんとわかっている。
でも、まだ架け橋になる何かが必要で(実際にSiMのときの一瞬のモニター越しの絡みは、まだ堅かったと思う)、翔やんのフリはそれを何もかもわかったものだったと思う。
もうひとつは「はよ言えや!」とKenさんがツッコまれまくって話題になったくだりで、実は結構、真剣に松っちゃんが「テレビをどう捉えている?」と「21年間、地上波に出てこなかったアーティスト」に対しての質問をしていたように見えたこと。
演奏シーンもライブ感があって良かったけれど、こういったところも僕は『HEY! HEY! NEO!』という番組ならではのライブ感だと思う。
テレビだから真摯な気持ちのぶつかり合い方が活字メディアと全く違うけれど、Ken Yokoyamaだけでなく、いろいろなアーティストの真摯な部分に爆笑しながら触れられた1時間だった。
どんなメディアも表現も、面白くなるかどうかは「わかっている」同士が、一期一会かもしれないその時間を真摯に楽しもうとするライブ感が生まれるかどうか、そんなことを思った。(古河)
『HEY! HEY! NEO!』のライブ感について
2016.05.07 23:06