CUTの誌面でもこのブログでも何度か紹介している、10月20日公開の園子温監督の『希望の国』。
前作『ヒミズ』では、脚本執筆中に東日本大震災が起きたことを受けて、舞台を「震災後の日本」に急遽変更し、「希望に負けた」と語りながら結末を、原作の「主人公の自殺」とは大きく違うものにした園子温監督。
今作『希望の国』は、彼がその『ヒミズ』で描ききれなかったことも描ききるために、東日本大震災から数年後、新たな震災と原発事故に襲われた架空の県を舞台に撮影した映画である。
そこで何が描かれたかは是非、多くの人に映画館で観てほしいのだが、このCUT編集部ブログへのリツイートの中に「観たいのに茨城で上映がない」というのがあって、この映画が福島も含めて東北や北関東では一館も公開されないことを残念に思った。
もちろん日本中すべての人に観てもらいたい映画だし、福島第一原発から離れたところにいる人にこそ観てもらいたいと思うところもある。
全国16館の公開は、充分に大きな規模とも言える。
しかし、より多くの地域の人にこの映画を観る機会が広がっていってほしい。
園子温監督自身による書き下ろし小説版『希望の国』もリトルモアから刊行されているので、そちらも是非。
ただのノベライズではないドキュメンタリー・タッチの内容。(古河)