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    『あまちゃん』故郷編を振り返る

    『あまちゃん』故郷編を振り返る

    NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』、全72話の故郷編がとうとう終わり、次週から東京編です。
    72話観たということは、もう18時間『あまちゃん』を観たということなんですね。
    あっと言う間過ぎる。

    それにしても故郷編の締めくくり方、凄かったです。
    このブログで第1週について書いた時点でも(http://ro69.jp/blog/cut/80615)、夏ばっぱ(宮本信子)、春子(小泉今日子)、アキ(能年玲奈)の母娘3代の関係の描き方の深さにいきなり引き込まれたと書きましたが、故郷編の最後の週でもこの3人に関して、それぞれ別のシーンで泣かされてしまいました。

    まず夏ばっぱ。
    浜から大漁旗を振ってアキを見送るシーン。
    そして25年前も実は、春子に向かって大漁旗を振っていた(泣)。
    「来る者は拒まず、去る者は追わず」が信条の夏。
    でも去る者は愛する家族であっても追わないけれど、精一杯のエールで送り出すのが夏ばっぱだったのですね。

    そして春子。
    25年前のことを夏が春子に「地元のために娘を犠牲にした」と謝る。
    それを言えたことによって夏もスッとするが、春子も「謝ってほしかったのか……私」と照れくさそうに笑う(泣)。
    第1話からずっとイライラしていた春子が初めて娘の顔に戻った瞬間でした。

    最後にアキ。
    東京へと出発する日、駅を発車し始めた北鉄の窓からアキは、ホームから見送る春子に「ママ! 私、1年前と随分変わった?」と問いかける。
    春子は、それに「変わってないよ! アキは。昔も今も、地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華もないパッとしない子だけど、だけどみんなに好かれたね! こっちに来てみんなに好かれた。あんたじゃなくて、みんなが変わったんだよ! 自信持ちなさい! それはね、案外すごいことなんだからね!」と答える。
    嬉しそうに「うん!」と頷くアキ(泣)。
    このとき春子がアキに言ってくれたことが故郷編のアキの物語のすべて。
    変わったわけではないし、ただ成長しただけでもない。
    アキは、自分を自分で認めることができるようになって、自分がやりたいと思ったことをやれるようになって、その結論としてあんなに嫌いだったはずの東京へと自分の意志で向かっていく。
    最後の最後で思わぬトラブルが発生しながらも……。

    東京編も、ますます目が離せません。
    7月19日発売CUTの表紙巻頭『あまちゃん』大特集の取材も着々と進んでいます。
    そちらもお楽しみに!(古河)
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