M83に、みんななりたかった。新木場スタジオコーストでの来日公演を観て
2016.05.27 15:05
やっぱり、最高だった。
いつまでもこのドリーミーな空間に浸っていたい……
って思いそうなところを、
バッキバキ
のダンス・ミュージックで躍らせてくれた。このうえない肉体性。それこそが、M83と、巷のドリーム・ポップ勢を頭何個分も隔ててきたのだ。
思えば、チルウェイヴ(懐っ!)。もしくは、ニューゲイザー(もっと懐っ!!)。そんな言葉でM83のサウンドが語られた時代もあった。まあ、もっと遡ればさらに出てくるんですがね……
ともかく。
M83はいつも結果的に最先端のサウンドを鳴らしてきたので、そうやって新潮流の筆頭、みたいに言われてきたのも無理はない。
だけど『hurry up we're dreaming』以来、彼の音楽には本当に隙がない。ドリーミーな音を出すのに、夢を見てる場合じゃない、というのを、作品もろとも証明してしまっていた。そして最新作『Junk』もまた、そういうアルバムなのである。究極のベッドルーム・ミュージックなのに、ポップ・ミュージックとしての強度、アートとしての完成度が半端ない。それでもって、ユーモラスな感性もあれこれ放り込んでいて、余裕ですっ!って勢いである。昨晩のライブの構成自体も、完璧だった。
宅録のスターで、ひとり壮大なポップ絵巻を仕上げてしまう彼は、Caribouなどと並んで宅録勢の憧れであり続けてきた。みんなM83になりたかったのだ。
どうでもいいけど、普通の人が、ネット上で有名になっちゃったこの動画、もし見ていなければ。彼もきっと、M83になりたかったのであろう。
https://vimeo.com/31579331