昨日デビュー・アルバム『ヒューマン』の日本盤(今年2月にリリースしたデビュー・アルバムは過去10年間における男性アーティストのデビュー・アルバム初週最高セールスを記録し、全英チャートにおいて初登場から2週連続1位を獲得)がリリースされたラグンボーン・マン。ちらっと彼の名前を耳にしたことのあるリスナーなら、あまりにも一筆書きなソングライティングと豪快さですべてをもっていってしまう”Human”(世界30カ国以上のiTunes、10カ国以上の週間チャートでも1位に輝いた)のインパクトが強すぎるかもしれない。でも彼のことをよく知っているリスナーなら、『ヒューマン』というアルバムの本質を知っていると思う。
2017年のブリット・アワードでは、「ブリット・アワード批評家賞2017」に加え、ブリット・アワードがその年期待の新人に贈る「ベスト・ブリティッシュ・ブレイクスルー・アクト賞」W受賞で話題をさらったが、上記に述べたチャートの結果が示すように、オーディエンスからの支持が熱い。彼の声が求められている、ということだ。
現在31歳のロリー・グラハムことラグンボーン・マンは、ヒップホップから自身の音楽活動を開始した叩き上げのアーティスト。この点、ストリートから歌を歌いだしたエド・シーランに通じる部分がある。
そして31歳になったロリーが最終的に自らのアウトプットとして行き着いたのはソウルだった。そしてこのソウル・ミュージックがこれほどまでに受けているのはなぜなのかと言えば、ソウルがあまりにも昨今、知的で洗練された音楽のフォーマットとして汎用されることが増えたからで、ここまでわかりやすくソウルを提示するラグンボーン・マンのサウンドを、反動的に人々が欲したのだと思う。
そしてもうひとつは、メインストリームのポップ・ミュージックの世界で求められる「声」やスタイルが、どんどん「きれいなだけ」「かわいいだけ」では済まされなくなったことが大きい。
先日のブログ(http://ro69.jp/blog/hatori/161454)で書いたデュア・リパもそうだし、元フィフス・ハーモニーのカミラ・カベロもそう。それからリタ・オラの新曲もめちゃくちゃ感動的だけど、これもリタ・オラの声が少しピッチが外れてかすれてるパートが魅力的に聴こえる。
完璧じゃなくていい。ラグンボーン・マンは、そんなことを、サウンドとしては完璧なソウル・ミュージックで示してみせる。
只今発売中のrockin'on7月号には、インタビューも掲載中。
インタビュアーは坂本麻里子さん。
フジロックへの初参戦も決まっており、楽しみ。
詳しくは以下にも。
http://www.sonymusic.co.jp/artist/ragnboneman/
ラグンボーン・マンは、ポップの正義だ
2017.06.08 11:54