リップのラップ 後編

リップのラップ 
 後編

前回の続きです。
リップの一部の曲のラップって、リズムにのっける言葉のビット数が少なくて、「8ビートの曲で1小節につき8文字の言葉がのっかる感じ」、つまり「8分音符1コにつき1文字な感じ」が独特だ、という話です。

何故そこが、他のヒップホップ・グループと違うのか。日本語ラップの場合、「8ビートの曲で1小節につき16文字のっける」、つまり「8分音符1コにつき2文字のっける」が、セオリーだからだ。
じゃあなんでリップには、8文字しかのっけない曲があるのか。

BPMのせいだ。
ということに、気づいた。リップの曲って、通常あんまりヒップホップでは使われないBPMのものが多い。具体的に言うと、だいたい、BPM120〜150の間くらい。
じゃあどのくらいがヒップホップでは通常なのか。非常におおざっぱにいうと、80〜100くらい。それだと、8分音符1コにつき、2文字のっけられる。
逆に、170以上くらいの、速いBPMだと、80〜100の曲の倍なわけで、「8分音符1コにつき1文字」でも違和感がない。

だから、120〜150のリップは、あんなに独特なことになるのだ。逆に、たとえば「JOURNEY」のラストを飾る「Beauty Focus」は、BPMゆっくりなので、セオリー通り「8分音符1コにつき2文字」になっています。

リップの曲のBPMが、他のヒップホップ・グループとは違って独特であることには気づいていたし、それはFUMIYAがハウスを好きなせいだ(ハウスのBPMってそれくらいが中心なのです)と思って納得していたが、そのせいでラップがああなっていることには、気づいていなかった。
で、今、初めて気づいたのだった。

「それに気づいたのってすごいでしょ」と言いたいわけではない。逆だ。こんなに長いことリップを聴いてきて、そのことに今の今まで気づいていなかったのか俺は!! と、自分でびっくりしたのでした。

もし、このブログを本人たちが読んだら、唖然とすると思う。「あんた何度もリップのインタヴューしてるよね?」「なのに今さらそんなこと言ってんの?」と、あきれると思う。
ただ、「あ、ほんとだ! そうか、だからこういうラップなのか、俺ら。知らなかった」って、SUさんだけは言ってくれるかも、という期待もあります。

なお、BPMというのは、曲の速さを測る単位です。BPM60=1秒です。だから、BPM120だと、1分間につき120ということになります。
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