「深夜高速」全曲解説 2

「深夜高速」全曲解説 2

「深夜高速──生きててよかったの集い──」全曲解説、続きです。

4.怒髪天
フラカンの、ある意味「芸風における大先輩」。
だと思いません? フラカンには、というか圭介には、増子兄みたいな侠気はびたいちないけど、それ以外は、いろんな意味で共通するものがありません?
ただ、フラカンが影響を受けた、とかいうよりも、「ただ単にかぶっている」という可能性も、大いにあります。
フラカンが、かつてメジャーでちょっと盛り上がっていた頃は、確か怒髪天、活動休止してたし。
で、怒髪天が復活してグワーッてきた頃は、フラカン、やってはいたけど、かなり地下に潜ってたし。
ともあれ、とても怒髪天らしい、ストレートでパンクっぽい、性急な、で、ちょっと軽やかな1曲に、仕上がっています。
にしても、圭介もそうだけど、増子兄の「声力(こえぢからと読みます)」、やっぱり強烈。この「高くてしゃがれた感じ」、耳にがんがんひっかかります。
あと聴きものは、ギターソロの後半。ライトハンド奏法、炸裂。

5.ミドリ
フラカンの前作、「たましいによろしく」に、「激文」と呼びたくなる推薦コメントを寄せていた後藤まりこのミドリのバージョンは、金子マリ以上に、オリジナルとは違うことになっている。
フリージャズと音響系をたしっぱなしにした上でかけっぱなしにしたような、奔放極まりない音にのって、それに輪をかけて奔放な歌いっぷりかつ奔放な編集っぷり(声が左右に振られたり別トラックから急に入ってきたりする)の、後藤まりこのボーカルが飛び回る、そんな曲になっています。
ちなみにコード進行と曲展開、もうまったく原形をとどめていない。でも後藤まりこ、奔放ながらも実は、符割もメロディもほとんど変えずに、ちゃんと歌っているのも面白い。
きっと原曲を好きなんだと思う。

6.中孝介
この人というと、個人的にまっさきに思い出すのは、2、3年前にリリースされた「奥田民生・カバーズ」「ユニコーン・トリビュート」の、前者に提供していた「手紙」のカバーが、とにかくもう強烈だったこと。
あの「♪はあ~んあんあんあ~ん」という、コブシというかビブラートというかほとんどホーミーというか、あの「民謡を超えてもはや音波」みたいな強烈さにぶっとばされてしまい、「私公認・2枚合わせてベスト・カバー」に選んだ記憶があるのですが、彼にとってはキーが高くないせいか、全体に抑え目なトラックのせいか、ここではわりかし淡々と、かつしっとりと、歌を聴かせておられます。
しかし、後半になると、あの「♪はあ~んあんあん」方向の歌い回しがちょっと出てきて、ぞくぞくします。
ほんと、ワンアンドオンリーな歌い手だと思います。

また次回に続く。
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