「深夜高速」全曲解説 3

「深夜高速」全曲解説 3

また前回の続きです。

7.泉谷しげる
演奏はフラカン、歌は泉谷。おそらく一緒に練習とか、ろくにせぬまま一発録り。そしてもうひとつおそらく、泉谷、原曲をじっくり聴くとか、そういうことをしていない。
つまり原曲どおり歌おうという気がゼロであり、たぶん歌詞も見ながら歌っており、符割りとかもう、終始全然違う。そこがいい。まず、「あの泉谷の声が、圭介の書いた歌詞とメロディを追っている」という事実に、もう、やられます。
あと、つくづくこの人って「しゃべる」「歌う」「叫ぶ」の3つの間に境界線がない。で、それがすごい、やっぱり。
しかし、フラカンと泉谷って接点あったっけ。これも「よく頼めたなあ」というバージョンですね。

8.湯川潮音
この人のお父さん、セッション・ベーシストでありプロデューサーの湯川トーベンは、かつてフラカンのサウンド・プロデュースを手がけたことがある、いわば師匠筋にあたる方なので、おそらく最初はその縁で知り合ったと思われます。
ギター、バイオリン、チェロと本人の歌、つまりリズム楽器なしで歌われているんだけど、「透明だけど湿っぽくない」「きれいだけど普通、そして普通なのに誰にも似ていない」あの声で歌われると、なんだかとても崇高な曲にきこえます。
「崇高」という言葉から最も縁遠いロック・ボーカリスト、国内第1位の座を長年守り続けている男が、作って歌っている曲なんだけど。

9.おとぎ話
このバージョン、おとぎ話がすっごくいいバンドで、有馬がすっごくいいボーカリストであることがよおくわかります。
なんていうんでしょう、こういうふうに「暗くない、そこはかとなく明るいだるさ」を表現できるバンドって、実はなかなかいない。こんな感じで遅くてもったりしたアレンジの曲をやっても間がもつバンドも、実はなかなかいない。
おとぎ話は一所懸命個性的になったんじゃなくて、ただ最初からどうしようもなく個性的だったという事実を、証明している1曲だと思う。

またまた次回に続く。
写真は、5年前に出たシングル「深夜高速」の、中身。
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