「知らない」才能 前編

「知らない」才能 前編

昨夜の、東京事変@国際フォーラムA、
私の隣の席は、ジャパン副編井上貴子でした。
で、座って、開演を待っている間のこと。

例の、上海万博のテーマソングが、岡本真夜の曲の丸パクリだった
事件がきっかけで、「中国には、日本の曲をパクった曲が、
まだまだいっぱいある」みたいな報道、
最近ワイドショーとかで、よくやっていますよね。
一昨日の朝だったか、スピッツの「空も飛べるはず」も、
思いっきりパクられている、という話題を、テレビでやっていた。

で。井上貴子、スピッツの担当なので、ふと思い出して、
その話を振ってみたんだけど、しゃべり始めて10秒くらいで、

あ。しまった。
この人、井上貴子だった。

と気づいた。
気づいたが、途中でやめるのもなんなので、
最後まで話したんだけど、やはり、彼女の答えは、

「知らない」

だった。
スピッツの件だけではない。
上海万博のテーマソングと岡本真夜の件自体を、
ご存じないという。
「いや、ここ2,3日、忙しかったから」だそうです。
1ヵ月くらい前から、話題になっている事件ですが。


そういう人なのです。井上貴子という生き物は。
で、僕はそもそも、このような、人の天然エピソードが大好きで、
中でも彼女はその宝庫なので、このブログなどでも、
何度かネタにしているんだけど、ただし。

それはその、

今、世の中で起きていることの大半を、井上貴子は知らない。

という事実を、責めたり、バカにしたりしているわけでは、
決してない(おもしろがってはいますが)。

むしろ、その「知らないでいること」って、ある種の才能なのではないか。
とすら、思っている。

だって、今のこの世の中で生きていて、「知らずにいること」って、
すごく困難じゃないですか。
たとえばですね。昨夜、井上と反対側の隣に座っておられた、
音楽評論家の今井智子さんの、普段の生活の結構な部分を、
私、知っています。
彼女のtwitterをフォローしているので。
「あ、ARABAKI行ったのか」とか、「リキッドルームのサンハウス、
入れたのかあ。いいなあ」とか。


しかし。今井さんはいいが、たとえば、カメラマン橋本塁が
最近引っ越ししたとか、TEPPEIがひどい二日酔いだとか、
シバエリが今日はちゃんと時間をかけて昼ごはんを作ったとか、
そんなことまで把握しているわけです、私は。
それ、自分にとって、本当に、必要な情報だろうか。

言うまでもない。
なくてもいい情報だ。

って、twitterは自ら見にいっているわけで、いらないなら
見るなよって話だけど、そうじゃない情報の大半って、
望んでいなくても視界に入ってきて、
脳にインプットされちゃうじゃないですか。

たとえば、僕は、ビートたけしに、そこそこ詳しい。
日本のロックにも、まあ、詳しい。
それらは、今の自分にとって、必要な情報だ。
仕事で使うので。

しかし。上海万博のテーマソングと岡本真夜の話、
はたして自分にとって必要か?
と、問われると、微妙じゃないですか。

たとえば、yahooのトップにあがっていて、
つい目に飛び込んできた、窃盗とかのささいな犯罪のニュース。
電車の中吊りに書いてある、芸能人のスキャンダル。
いる? その情報。自分の生活にとって。
いらなくない?


これ、こんなに長く書くネタか?
という気がしないでもないが、まだまだ全然終わらないので、
2回に分けます。

次回に続く。
写真は、東京事変の最新アルバム、『スポーツ』。
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