銀杏×「裏切りの街」  その3

銀杏×「裏切りの街」  その3

三浦大輔作・演出の舞台「裏切りの街」の話、まだ続きます。
今回は、その演劇の内容についてです。

まず。始まって30分くらい経った段階で、

ああ、そうだあ。
映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」もそうだったわ。
こういう作家なんだなあ、三浦大輔って。

と、つくづく思いました。

テレビドラマなんかでおなじみの人気俳優、田中圭と、
舞台でひっぱりだこの人気女優で、松尾スズキ作品にも
よく登場する秋山菜津子の2人を中心に展開する話で、
それぞれの恋人と配偶者の役が、安藤サクラと松尾スズキ。
プラス、古澤裕介・米村亮太朗・江口のりこ、の、全部で7人が出演、なのですが。

その7人の誰にも、全然感情移入できない。
誰にも共感できないし、好感を持てない。
というか、つまり、全員嫌い、こいつら。

愚鈍。怠惰。いいかげん。だらしない。バカ。

7人が全員、そのどれかに、もしくはその全部にあてはまる。
もしくは、「頭いいけど激しくイヤな奴」か。
しかも、映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の場合は、
脇役のリリー・フランキーや小林薫など、
脇役で、観ていてほっとするような「いい人」もいたけど、
この芝居「裏切りの街」の場合、そういう人もいない。
だから、全員が、イヤ。

本当に、観ているのが苦痛で、「早く終わらないかなあ」とずっと思っていた。
でも、観終わった今、「もう一回行こうかなあ」とか思ったりしている。
つまり、物語がつまんないから苦痛なのではなく、おもしろいから苦痛なのだ。
なんだそれは。
つまり、登場人物に対して、もういちいち腹が立つのです。立ちっぱなしなのです。
要は、リアルだ、ということです。

写真は、今年の2月4日に、僕が「ボーイズ・オン・ザ・ラン」を
観に行った劇場に貼ってあった、三浦大輔監督の手書きメッセージ。
はい。確かに、映画も、この舞台も、観ていて、とてもイヤな気持ちになりました。

まだ続く。
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