銀杏×「裏切りの街」 その3
2010.05.23 15:00
三浦大輔作・演出の舞台「裏切りの街」の話、まだ続きます。
今回は、その演劇の内容についてです。
まず。始まって30分くらい経った段階で、
ああ、そうだあ。
映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」もそうだったわ。
こういう作家なんだなあ、三浦大輔って。
と、つくづく思いました。
テレビドラマなんかでおなじみの人気俳優、田中圭と、
舞台でひっぱりだこの人気女優で、松尾スズキ作品にも
よく登場する秋山菜津子の2人を中心に展開する話で、
それぞれの恋人と配偶者の役が、安藤サクラと松尾スズキ。
プラス、古澤裕介・米村亮太朗・江口のりこ、の、全部で7人が出演、なのですが。
その7人の誰にも、全然感情移入できない。
誰にも共感できないし、好感を持てない。
というか、つまり、全員嫌い、こいつら。
愚鈍。怠惰。いいかげん。だらしない。バカ。
7人が全員、そのどれかに、もしくはその全部にあてはまる。
もしくは、「頭いいけど激しくイヤな奴」か。
しかも、映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の場合は、
脇役のリリー・フランキーや小林薫など、
脇役で、観ていてほっとするような「いい人」もいたけど、
この芝居「裏切りの街」の場合、そういう人もいない。
だから、全員が、イヤ。
本当に、観ているのが苦痛で、「早く終わらないかなあ」とずっと思っていた。
でも、観終わった今、「もう一回行こうかなあ」とか思ったりしている。
つまり、物語がつまんないから苦痛なのではなく、おもしろいから苦痛なのだ。
なんだそれは。
つまり、登場人物に対して、もういちいち腹が立つのです。立ちっぱなしなのです。
要は、リアルだ、ということです。
写真は、今年の2月4日に、僕が「ボーイズ・オン・ザ・ラン」を
観に行った劇場に貼ってあった、三浦大輔監督の手書きメッセージ。
はい。確かに、映画も、この舞台も、観ていて、とてもイヤな気持ちになりました。
まだ続く。