トータス松本『ツイスティン・ザ・ナイト・アウェイ』
WPCL-11032 WARNER MUSIC JAPAN
出たの2月8日だから,もう1ヶ月近く経ちますが、
ここんとこ、ヴァン・ヘイレンのニュー・アルバムと共に
(なんでだ)自分内へヴィローテーションになっている1枚です。
サム・クックの同名のアルバム、邦題『ツイストで踊りあかそう』を、
まるごと、そのまんまカヴァーしたもの。
ジャケットとか裏ジャケとかのデザインも、そのまんま。
その裏ジャケに、なぜこのアルバムを作ったのか、ということに
ついての、本人の文章が載っている。
要は、このアルバム、権利関係か何かの事情があるらしく、
CD音源化されてないと。当時のアナログ盤を探すしかないと。
サム・クック、トータスに多大な影響を与えたシンガーなわけで、
というか「サム・クックがいなければ、このアルバムがなければ、
俺は歌など歌っていない」ってくらい重要な作品であって、
なのに、その名盤がアナログを探して(たぶん)高値で
買わないと手に入らない、しかもアナログプレイヤーを
持ってないと聴けない、というのは、信じられないと。
だったら、まるごと俺が歌ってやると。
という、「ただのファンか!」みたいな動機と、
でもそれをメジャー・レーベルで現実にやれるという、
誠にプロフェッショナルな実行力でもって、
生まれた1枚なわけです。
というものなので、オリジナルにはない自分の解釈を……とか、
影響下にありつつも独自のカラーを……みたいなことを
思いながら作ったフシ、ありません。
ただそのまんま、すっごい気持ちよさそうに歌ってるだけ。
カヴァー、というより、コピーといった方が近いかも。
で。めちゃめちゃいいのです、これが。
すばらしいとしか言いようなし。
元々トータスという人は、ウルフルズ結成以前、
プロのギタリストを目指していた頃は、オリジナル曲なんて
作る気なくて、コピーで武道館までいったる! と思っていたそうで、
基本的に、自分の歌詞とか自分の曲とかじゃなくても
勝負できなきゃダメ、みたいなところがある。と、僕は思う。
彼がルーツにしているのが、ブルースとかソウルだから
よけいそうなんだろうけど、歌そのもの、演奏そのものの
表現力、そのミュージシャンの価値を決めるのはそこ、というような。
という点において、このアルバム、すっごいと思う。
ただそのまんまやっているだけ、なのに最強。
つくづくいい歌うたうなあ、この人。
ほんとに気分いいです、聴いてると。
私、サム・クックのアルバム、アナログとCDで2,3枚ずつ持ってるけど、
この『ツイストで踊りあかそう』は、持っていません。
これを聴いて、ほしくなって、こないだから中古アナログ盤屋に
行くたびに探したり、ネットで調べたりしてるんだけど、
なかなか出てこない。
しかし。CDの方で調べてみたところ、なんと、
国内初のCD化が決まっていました。
3月7日に、紙ジャケ仕様で出るそうです。
詳しい経緯は知らないけど、
たぶん、トータスのおかげだと思う。
予約しました。
あとは、アナログ探さないと。
もし見つけても「すんげえ高くて手が出ない」という可能性、大ですが。