そこに紡がれた言葉の数々には、悲しみや寂寥感、苛立ちだけでなく、どこか心に寄り添うような温かな穏やかさが感じられるのが不思議で、これまで以上に「歌」がフォーキーに、普遍的に語りかけてくるような作品です。ひとつひとつの言葉の粒立ち、そしてそれが日常の物語として、その情景をありありと浮かび上がらせていく──。
秋田ひろむという詩人の才能に、改めて触れた思いでした。
今回のインタビューでは、なぜ今彼が「地方都市」、つまり青森をテーマにアルバムを作ろうと思ったのか、そして、「メメント・モリ」=「死を想う」ことを、なぜ地方都市での日常に結びつけたのか、じっくりと聞くことができました。
前作アルバム『世界収束二一一六』での、聴き手に爪痕を残すような切迫感とは違う、秋田ひろむ自身がシンプルに「歌いたい」と思うテーマをストレートに言葉にしたような作品でもあり、彼はこの作品について「こういうアルバムを定期的に出していくのがわいの人生なのかなって思える一枚」と語ってくれたのが印象的でした。
このロングインタビューは、現在発売中の『ROCKIN’ON JAPAN』1月号に掲載されています。ぜひ、『地方都市のメメント・モリ』のリリースを心待ちにしながら、読んでもらえたらと思います。(杉浦美恵)