前進あるのみ――新しい学校のリーダーズが“Tokyo Calling”でかける魔法
2023.10.20 21:00
《Tokyo Calling》、何度もシャウトされるこの言葉によって、身体の奥底から湧き出てくるエネルギーに、火がつくのはなぜだろう。
SUZUKAの切れ味鋭いアジテーションのようなシャウトと、おまじないを掛けるような美しいコーラスの対比や、RIN、MIZYU、KANONが演じ歌う父、母、兄のキャラクターの「実在しそう感」によって生まれる親近感が、曲の表現をより立体的にしていると思う。グッと胸ぐらを掴むように引き込み、内なる情熱に火をつけてくるのである。
この世界観を支えるのは劇画チックなホーンの低音にトライバルなビートが乗った極めてシンプルなトラック。“オトナブルー”や“Suki Lie”のプロデュースを手掛け、新しい学校のリーダーズの世界観やこれから向かっていく場所を理解しているyonkeyだからこそできる手腕だろう。
MVで巨大化した4人が街の中で踊る様子は、その世界にかける魔法を発動させる儀式のようでもある。「ワシらについてこい!」と言わんばかりの熱量でシャウトされる後半の《Tokyo Calling》は、彼女たちがまたここから物語を作り上げていくための掛け声のようにも聴こえる。(前田侑希)
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