フレデリックが絶好調だ。2023年は彼らにとって特別な意味を持つ年になったと思う。CMタイアップ曲"スパークルダンサー"のスマッシュヒットがもたらした効果は大きかった。求められるフレデリックであり続けながら、時代に対応して更新した姿を提示し、それがポップミュージックとして市場から評価されたことが彼らに大きな自信をもたらしたのだろう。
一方、ボーカル・ギター三原健司のポリープ切除手術による一ヶ月の療養というアクシデントもあった。
そんなフレデリックの最新ツアー「FREDRHYTHM TOUR 2023-2024 WELL 噛 ONE"」初日のKT ZEPP YOKOHAMA公演を観た。
健司の歌に対する不安は少なからずあったのだが、でもそれはすぐに払拭された。いきなり一曲目と二曲目の間のブリッジで健司のこれでもかというくらい長く力強いロングトーンが披露された。このライブを安心して最後まで楽しんでくれ、という健司からの「復活開会宣言」だったのだと思う。そこからの2時間は新旧ナンバーを取り混ぜ安定しながら力強く進んでいった。
アンコールでしばらくライブでは封印されていた初期の代表曲が歌われた。フレデリックのイメージを固定化したくない、という理由で避けていたのだと思うが、今この曲でライブを締めることに自然に向き合えたことが素晴らしい。フレデリック自身が自分達の現在に自信と確信を持てていることの現われであり、この先彼らはますます強くなるだろう。
(海津亮)
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フレデリックは強くなる
2023.11.26 10:42