MONONOKEは、曲によってロック色が強かったり、シティポップのイメージだったり、それらにテクノが混ざっていたり、はたまた歌謡曲のようだったり、ジャンルを自由自在に行き来する。
それは彼が影響を受けたと公言するアーティストの多様さから来ているところも大きいだろうが、単なるオマージュではなく、さまざまな要素を混ぜ合わせて「MONONOKEの曲」として緻密に作り上げているのが面白い。
そんなMONONOKEが2月7日に放った最新曲“ラブリー”は、照れてしまうほどストレートなラブソングだ。恋に季節があるとするならば、この曲で描かれる恋はきっと春だ。冬を乗り越え、すべての景色が色づき始め、ぽかぽかの日差しが眩しい春。そんなふうにただただ幸せな、無敵のふたりが描かれている。
曲中に入るクラップ、エレクトリックピアノの音色、視界が開けるようなサビのストリングス、スキップをしているようなギターソロ、アウトロに入るゴスペル……ときめきや愛しさが音に乗って体に広がっていくような感覚。そしてMONONOKEの歌声もいつもより穏やかで語りかけるようなやさしさがあり、一層曲の幸福感を引き立てる。
この曲もまた、これまでの楽曲とはまったく印象の違う1曲だ。MONONOKEの曲にはどちらかというとクールなイメージを持っていたから、ここまで温かくまっすぐな恋の歌も書けるのか!と驚いた。次は一体どんな一面を見せてくれるのか……ただただ楽しみに待ちたい。(藤澤香菜)
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