Orangestarの最新曲“Encounter”から伝わる愛と情熱──まだ知らないあなたに出逢ってほしい歌


曇り空が突然晴れ渡るような、1曲の中を凪と嵐が交錯することで生まれるカタルシスがOrangestarの楽曲の魅力である。

昨年、6年半ぶりのアルバムをリリースしたOrangestarの最新曲は、『ポケットモンスター』のゲームBGM・SEをサンプリングし、初⾳ミクが歌うコラボレーション企画「Project VOLTAGE」の1曲。
本企画では、ポケモンがもつ「くさ」「ほのお」「みず」などのタイプの数が「18種類」あることにちなんで、18のボカロPによる、18の楽曲・MVが制作された。

Orangestarが手掛けた"Encounter”は、自身が子供の頃から大好きだったというポケモン・ルギアをテーマに制作された楽曲。ルギアというのは強靭な翼と能力を持ち、海の神様と伝えられる伝説のポケモンのことだ。
今作について、「歌詞はルギアと出会う主人公とその相棒ポケモンについてです。耳を澄ませると微かにうみなりのスズの音が聞こえます」とコメントを寄せている。

Orangestar節ともいえるEDM調の単調なビートと全編にわたって繰り返されるピアノリフが、徐々に翼を広げ大空に舞い上がるかの如く音像を変えながら、潮の満ち引きのように絶え間なく耳にまとわりつく。
波間を縫うように届く初音ミクの歌声は、か細くも力強く、《遠い空、高く舞い上がった一瞬の風に/何処までだって》というサビのフレーズ通りに遠く、高く響きわたる。

彼の楽曲はイヤホンやヘッドホンを通して爆音で聴くことをおすすめする。たとえどんなにゆったりとしたバラードであろうとも、静寂と喧騒の巧みなコントロールによって最高に心を昂らせてくれるからだ。さらに今作は、立体音響のように音の位相がすごいことになっている。
まさに伝説のポケモンを目の当たりにしたような、冒頭から脳を揺さぶられるような感覚に音の方角を見失い、気を抜けば身体ごと持っていかれそうになる。

さらに楽曲全体にルギアにまつわる細かな仕掛けが施されていて、Orangestarのルギア愛もひしひしと伝わってくる。
何度もリピートして味わいたくなる音作りが本当にうまい。(橋本創)


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