あらゆる感情と3ピースアンサンブルの美しさが詰まった宝石箱のようなシャイトープのワンマンライブを観て、心がそっと浄化された

あらゆる感情と3ピースアンサンブルの美しさが詰まった宝石箱のようなシャイトープのワンマンライブを観て、心がそっと浄化された
アルバム『オードブル』を引っさげ、1月から全国各地を回ってきたシャイトープ LIVE TOUR 2024「オードブル」。本公演としては14公演目、ツアーファイナルの渋谷WWWX公演を観た。ファイナルとはいえまだ追加公演が残っているので、具体的な曲にふれるのは避けるけれど、なんというかまあ改めていい曲しかないこと!

日常に寄り添うシャイトープの楽曲は、心のやわらかいところをあちこちつつきながら、見逃してしまいそうな小さな喜びも、誰かに言うまでもない自分だけの悲しみも、忘れたくない愛しい気持ちもじんわりと思い出させてくれる。ライブでは、曲と曲とのつながりによって2時間を通していろんな感情にさせられるし、「1曲につきひとつの感情」というわけではなく、音の強弱やアンサンブルの妙によって、1曲の中でもいろんな感情の中を泳ぐことができて、観終わったあとは、なんだかたくさん泣いたあとのような腹の底から笑ったあとのような清々しい気持ちになっている。

ライブで鳴らされるのは、佐々木想(Vo・G)、ふくながまさき(B)、タカトマン(Dr)、3人が生み出す音だけ。限られた音のはずなのに、ボーカルはもちろん、ギターもベースもドラムでさえも常に気持ちよく「歌って」いるのがダイレクトに聴こえてきて、3ピースバンドってやっぱいいなあとしみじみ思わされた。

ライブはめちゃくちゃかっこいいのに、ある曲で昂ぶりすぎて弦を切った想さんが想定外の場繋ぎMCで「手洗い、うがい、鼻うがい、ちゃんとしましょう!」と学校の先生のようなMCをしだし、まさきさんが「ツアーファイナルまで風邪を引かずにこられて……まあ、風邪引いたんですけど、よかったです」と「どっちなんだ?」というコメントを残し、タカトさんはそんなふたりを優しく見守っていて、3人の絶妙なバランスもまたよかった。

ある曲でコール&レスポンスの時間があったけれど、JAPAN JAM 2024、春の野外の気持ちいい空間でもぜひシャイトープと一緒に歌いたいな、と思った。(畑雄介)


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