Fish and Lips 初ツーマン企画に、先輩バンドのKOHAKUがわざわざ北海道から駆けつけて出演したのも、そんなフィシュリの魅力を買っているからなのだろう。
悲しみや怒りのような負の感情は人を寄せつけやすい。だけど、貴重な青春の時間をコロナ禍で奪われてしまった悔しさから生まれた曲“青春ロックを歌って”の中でさえ、《なんて素晴らしい青春だ》と歌ってしまえるほどポジティブなエネルギーを放つフィシュリの音楽には、強く心を惹きつけられる。
まっすぐな言葉を、なんの迷いもなく届ける──いちばんシンプルなことが、実はいちばん難しいのではないかと気づかされたし、それをライブという場で力強く体現したフィシュリはやっぱりひと味違うなと見せつけられた。(有本早季)
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