トンボコープにはコンポーザーがふたりいることもあり、もともと音楽性の幅広いバンドではあるが、“daratto”は今までにないチルアウトミュージックで思わず体を揺らしたくなる、少し肌寒くなった今の季節にぴったりな曲。作詞作曲を手掛けたのは雪村りん(Vo・G)だ。
青春や夢、恋愛といったテーマを据えたドラマチックな楽曲が多い印象がトンボコープにはあるが、“daratto”では何か具体的な悩みや葛藤を描いているわけではなく、得も言われぬ焦燥感や虚無感が書き連ねられている。曲が進んでいっても明確な答えに辿り着く訳でもないけれど、そんな曖昧でグニャグニャな形の曲だからこそ、孤独な夜にぴったりと寄り添ってくれる感じがするのだ。
ロックバンドという枠組みやイメージの外に飛び出すことを厭わない、トンボコープの目まぐるしい変化に今後も注目したい。(有本早季)
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