トンボコープが新境地を切り開いた、夜風のように心地いい新曲“daratto”が漠然とした孤独感に寄り添ってくれる

トンボコープの新曲が出るたびに、とてもいい曲だからこれは読者のみなさんに紹介しなくては!といつも思っている。だけどそう考えているうちに、ハイペースでどんどん新しい曲が発表されていくので編集部ブログが追いついていなかった。この夏に発表した“彗星”や“フラッシュバック”についても語りたいことがあるのだが、またしてもバンドの新境地を切り開いた10月9日リリースの“daratto”にはどうしてもいち早く触れておきたい。

トンボコープにはコンポーザーがふたりいることもあり、もともと音楽性の幅広いバンドではあるが、“daratto”は今までにないチルアウトミュージックで思わず体を揺らしたくなる、少し肌寒くなった今の季節にぴったりな曲。作詞作曲を手掛けたのは雪村りん(Vo・G)だ。

青春や夢、恋愛といったテーマを据えたドラマチックな楽曲が多い印象がトンボコープにはあるが、“daratto”では何か具体的な悩みや葛藤を描いているわけではなく、得も言われぬ焦燥感や虚無感が書き連ねられている。曲が進んでいっても明確な答えに辿り着く訳でもないけれど、そんな曖昧でグニャグニャな形の曲だからこそ、孤独な夜にぴったりと寄り添ってくれる感じがするのだ。

ロックバンドという枠組みやイメージの外に飛び出すことを厭わない、トンボコープの目まぐるしい変化に今後も注目したい。(有本早季)



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