作品タイトルにもなっている“親愛なるあなたへ”は、真っ直ぐなバンドサウンドに破壊力のあるロックなギターフレーズ、ファンとの絆を歌詞に込めて力強く歌い上げたTHE BACK HORNらしい一曲。“ジャンクワーカー”や“修羅場”は、社会や家庭の中で生じる苦しみや現実への思いを切り取った歌詞が心に刺さる。ダンスナンバーの“Mayday”や、スカを取り入れた“SUN GOES DOWN”などは、まさに新機軸のTHE BACK HORNで、ジャンルの幅広さを感じることができる。バンドとしては、コロナ禍を経て各自の経験値が上がったことで、柔軟に楽曲制作に取り組むことができるようになったと菅波栄純は語ってくれた。
キャリアを積めば積むほどに、新しい形を手にすることは難しくなることが多い。それは一歩を踏み出す大きな勇気が必要になるからだと私は思う。だが、THE BACK HORNにはコロナ禍だけでなく、近しい人のあるひと言がきっかけで、新たな一歩を歩むことができたようだ。
25年というのは長い道のりのように見えるが、これからのTHE BACK HORNが刻む歴史の中で考えると一片のかけらにすぎない。そう強く思えるのは、インタビューでふたりが先を見据えて熱く語ってくれたからだった。ぜひ、THE BACK HORNというバンドの新たな歴史が始まる、その瞬間を収めたインタビューをJAPAN3月号で確認してみてください!(岩田知大)
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