特別インタビュー! THE BACK HORNが今こそ語る、18年目の「ビジョン」と「本音」

THE BACK HORN

2016年6月の新木場スタジオコースト「運命開歌」ツアーの最終日の模様と、菅波栄純(G)が監督・編集したそのツアーのドキュメンタリーを収めた映像作品『KYO-MEIツアー ~運命開歌~』と、ニューシングル『With You』を、2016年10月19日(水)に同時リリースするTHE BACK HORN。『With You』については2016年10月28日(金)発売の『ROCKIN’ON JAPAN』12月号掲載のインタビューでじっくり訊いています。そしてRO69では、映像作品『KYO-MEIツアー ~運命開歌~』について……だけでなく、THE BACK HORNというバンドのそもそもの活動のし方、存在のし方、在り方まで含めて、4人にがっちり迫りました。ではどうぞ!

インタビュー=兵庫慎司 撮影=後藤寛子

THE BACK HORNがもし日本のロックシーンからいなくなったら、ほんのりさみしさが漂うんじゃない?

──あの、今さら思ったんですが、THE BACK HORNってずっと止まらないですよね。アルバムのリリースツアー、「KYO-MEI」ツアー、あと「マニアックヘブン」。その3種類のライブを、毎年ずっとやっていて。

松田晋二(Dr) ああ、そうですね。

──今ってどのバンドもライブの本数が多くなっていく傾向にあるけど、THE BACK HORNは昔からそういう活動ですよね。休止をしたこともない、リリースが3年とか空いたこともない。

松田 うん。

──っていうのは……やっててどんな感じなんですか?

全員 はははは!

松田 いやあ、どうかなあ……。

岡峰光舟(B) これ、俺から客観的に言ったら、休めない人なんですよね。マツは休むと不安になるタイプで、栄純は休む休まないに関係なく、曲を作るのが……生きがいっていったらおかしいか。

菅波 いや、そうかもしんない。生きがいかもしんない。

岡峰 仕事でもありライフワークでもある、みたいなところだから。だから結局、曲はできるというか。「作っちゃいけません」って言わないと止まんない(笑)。

松田 でも、曲を作りたくない、ライブやりたくないってなったら、それはやらない時期になりますよね。だけどなんとなく「ライブやりたいな」とか「そろそろいい曲作りたいよな、次作るんだったらこういうのがいいよな」っていうのが出てくるうちは、このまま続いていくと思います。それが自然なサイクルなので。

──ずっとそのままですよね。で、考えたら、僕が初めてインタビューさせてもらってから、15年経ってるんですよ。

松田 経ってますねえ。

──怖っ!と思って(笑)。

松田 怖いっすねえ、それは。

──休まない、止まらない、クラッシュしない。それこそ、いっぺん解散してまた再結成していてもおかしくないぐらいの時間が経ってるわけじゃないですか(笑)。

菅波 そうか!

松田 その手もあったのか(笑)。それはそうですね、そう言われると。

──もっと言うと、ドカーンとバカ売れしてるとか、逆に売れなくて契約を切られるっていうこともないし。

松田 よくわかんないバンドだな、そう考えると(笑)。常にいる、みたいな。

菅波 「あいつ、いっつもいるよな」って。

山田将司(Vo) 飲み会行ったらいっつもいる奴(笑)。

岡峰 新人の飲み会にもいるし、先輩の飲み会にもいるし。

菅波 それはある。

松田 でもべつに、それを活動理念として目指してるわけでもないんですよ。常に新しい人にも聴いてほしいし、もっともっと大きな会場でもやってみたいと思いますし。でも……そのために、スタッフも含めて、もっとビジョンを考えて、「もっとこういうふうになっていこう、そのためにはこの時期にリリースして、こういうふうにツアーを回って、こういう人たちに広めていこう」みたいに、ちゃんと作戦を立てての歩み方もできるんでしょうけど……THE BACK HORNはやっぱり曲ありきなんですよね。
歌に導かれるように、というか。「次はこんな曲をやりたい」「こんな歌を作りたい」って、その時その時に思うことが、何よりも優先なので。それを大事にしてやっていきたいという気持ちで進んでいくと、今みたいな活動になるのかな、とは思いますね。
もっともっと大人になって、もっともっと音楽以外のことも考えて、もっともっと、たとえば企業っぽくしていくバンドのやり方もあると思いますし。それがまちがってるとも思わないし、それでこそ成し遂げられる受け入れられ方とか、上り詰め方もあると思うんですけど。でもわりと早い段階で、「それは自分たちにできないだろうな」っていう判断は、心のどこかにあったと思いますね。でも「もっともっと」というのは思ってるから、もうちょっとそこは、悪あがきしていこうかなと思うんですけど。

菅波 ……でもほんと、もしTHE BACK HORNが日本のロックシーンからいなくなったら、ほんのりさみしさが漂うんじゃない?

松田・山田・岡峰 はははは!

菅波 いっつもいたからさ。

山田 じわじわね。「あれ? いない」って(笑)。

松田 わかる。だから、「ずーっとCD棚にTHE BACK HORNがあって、たまーに部屋で“美しい名前”を聴きたくなるんだよなあ」とか。ドライブ行く時は明るい歌をワッと聴いたりするけど、たまに夜中ひっそりと、誰にも気づかれないようにヘッドホンでTHE BACK HORNのあの曲を聴きたいな……っていうのはあると思うんですよ。俺たちを聴いてくれてる人たちの中に。だから、そのCDを手に取る時に、「ああ、これの新しいのはもう出ないんだ」っていうさみしさはあるかもしんないですね(笑)。

菅波 うん。さみしさが広がると思うよ、ほんのりと。

松田 昔からよく言ってたのが、「みんな、明るいだけじゃない」っていう(笑)。99%明るい奴でも1%は暗い瞬間がある、その人が手に取れる音楽としては、自分たちの位置があるんじゃないか、みたいなことは、ちょっと思ってましたね。それがたぶん、人間誰もが持ってるものというか。

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