ゲンジブのアリーナツアー「仮ノ現」は、7周年へ刻んできた「現」を見せる変幻自在の表現体だった

ゲンジブのアリーナツアー「仮ノ現」は、7周年へ刻んできた「現」を見せる変幻自在の表現体だった
「はかない現世」を意味する「仮ノ現」という言葉が冠された、原因は自分にある。のアリーナツアー。そのタイトルから浮かび上がるのは、どこか不確かで、移ろいやすくて、掴もうとすると指の隙間からこぼれていくようなエンターテインメントの世界。しかし、このライブで7人が見せてくれたものは、むしろその逆だった。はかない現世の中に、これまで積み重ねてきた時間の重みを、今ここに確かな「現」として刻み込んでいくようなライブだった。コンセプチュアルなストーリーテリングを持ったセットリストで、タームごとに音楽性も世界観も、ステージ上に見せたい景色も大胆に変わっていく。にもかかわらず、そのすべてをバラバラな表現に終わらせず、どこを切り取ってもゲンジブのものとして打ち抜いていく7人は、まさに変幻自在の表現体だった。大倉の煽りが客席を焚きつけ、小泉は楽曲の歌心をまっすぐ届け、桜木はスター性のあるパフォーマンスで視線を奪い、長野はハッと目を引くダンスで空気を変える。武藤は型にはまらない歌でステージに風穴を開け、杢代は華のあるオーラで場を制圧し、吉澤はしなやかな舞で麗しく魅せる。それぞれの個性が立ち上がる瞬間がありながら、最終的には7人でひとつの大きな表現として躍動しているのが、今のゲンジブの強さなのだと思う。各時代に「表現の顔」となる曲がある、という厚みを改めて感じさせられたライブでもあったけれど、特にグッときたのは序盤の流れと、ラストの“ネバーエンドロール”。そのふたつには、コロナ禍においてもライブ表現を磨き続け、止まらずに更新を重ねてきた彼らの歴史が滲んでいた。7周年へ刻んできた歩みを圧倒的な「現」として目の前に見せてもらったような感覚のある、今のゲンジブにふさわしい堂々たるアリーナライブだった。(畑雄介)
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