突然ですが、リザード。 昨年は津島秀明監督による東京ロッカーズの映画が上映されたり、今年2月には豪華10枚組BOXが出たり、盛り上ってるなあと思っていたら、ついに先日11月21日、22年ぶりのスタジオ・レコーディング盤が無事リリースされた。 しかも、ベースのワカ、キーボードのコーが30年ぶりに加入と、初期メンバーが復活。さらにドラムには元ARBのキースが参加している。
“いつだってデストピア”とか“人形遣い”とか“最低最悪最下級の悪魔”とか相変わらずの楽曲群、闇の中からにゅっと出てくるようなユーモラスな歌はやっぱり面白くてカッコいい。ストラングラーズ直系の文系ニューウェイヴ/パンクなのに、妙に土着的なところがユニークだ。
ボーナス・トラックはモモヨのソロが収録されている。リザードとは対照的な慈愛を感じさせる楽曲“オ・ヤ・ス・ミ”にはびっくりした。でも本編の一曲目“Die−job”も、そういう目線の楽曲だった。
考えてみると、冒頭のドキュメンタリー映画でも「誰に君の音楽を聞かせたい?」と問われたモモヨは、こう答えていた。「俺なんかが住んでる近所の、要するにアナタとかボクとかよりは、もっと悲惨な生活をしている人たち。それと子どもたち。ロックンロールっていうのはガキとかさ、そういう奴らのモンでしょ」。
実験的でグラマラスで暗黒なイメージが強いが、リザードとはそういうバンドなのだった。というのが今さらながらよくわかった。(井上)