小南泰葉のメジャーデビュー盤『嘘憑キズム』を携えてのワンマンツアーファイナル@代官山UNITを昨夜観た。
仮面を付けた道化師に手を導かれてステージに登場するというシアトリカルなオープニングしかり、やはりワンマンならではの濃密な世界に驚く。
楽曲の放つメッセージ同様に、ステージで彼女が語る言葉は生と死にかんする危ういものが多いが、常に自分のリアルを表現しなければ生きていけない彼女らしい真摯さに満ちていた。 他人や自分を傷つけることを恐れて、嘘をつき、自分を偽らなければまっとうに生きられないという小南。だからこそ彼女の表現は、その反動のように容赦なく正直だった。
エキセントリックなイメージをもたれるし、確かに超極論主義者で実際ステージでもものすごい金切り声をあげたりするのだが、
彼女のパフォーマンスはいわゆる憑依型みたいなものとは対極にある。一秒一秒に自分自身を自覚的に刻み付けていくような、とても丁寧で誠実なもので、その姿勢はどんなに激しい曲でもぶれない。
アッパーな曲もいいが、後半に続いたバラードたち、特に“やさしい嘘”は慈愛に満ちていて感動的だった。(福島)