無敵になった女王蜂!@新木場コースト

無敵になった女王蜂!@新木場コースト

はじめて怖いと思った。
怖いっていうのを認めた。
そしたら怖くなくなった。
「弱ってた時にやったツアーやったから」と前置きして、アヴちゃんは上のように語った。
初めての本格的な全国ツアー「九蛇行進」、何よりギギちゃん(G)が抜けて初めてのツアーでもある。けれども昨日のファイナルを観ると、その困難をのりこえることによって女王蜂はさらに強く大きくなったことが証明された。SHIBUYA-AXでの、傷だらけで、弱い心を剥き出しにした少女のような女王蜂とはまったく違うステージだった。
黒いセミロングのエキゾチックな少女のような姿で、スポットライトを浴びながら歌う一曲目“歌姫”--ステージに立つことの決意表明にも似たオープニングで始まって、ディスコもテクノもバラードも大蛇のごとく呑み込んでゆく。新たなギター、キーボードが加わってアレンジもかなり変わっている。特に“鬼百合”は、♪基本的に音楽のジャンルなんてすべてはき違えていたいの〜、という替え歌さながらに、途中からいきなりファンクに大変身。チョッパーベースをグルーヴィーにぶちかますヤシちゃん、かっこよかった! 「はじめてバンドになった気がする。じゃあ今まで何やったん?て感じですけど(笑)」というアヴちゃんの告白がすべてを物語っていた。アヴちゃんの中から出てくる喜怒哀楽や人生観、無限のインスピレーションを自由に爆発させる場だった女王蜂が、バンドのものになり、みんなのものになっていく。そんな開花への過程を今、女王蜂は歩んでいる。
『蛇姫様』の一曲目“鏡”から、「大切な曲をやります」と言って歌われた“無題”への中盤は、まるで神聖な儀式に立ち会っているような厳粛な空気に身じろぎもできず、鳥肌が立った。
アヴちゃんがいくつもの愛憎や痛み、不条理な思いを体験してきたことはインタヴューでわかった。でもアヴちゃんは、祈るべき神様の名前を知らない。だから、歌にして祈るのだ。と、改めて思った。 昨日のライヴでたったひとつだけ残念だったことがあるとすれば、『蛇姫様』のラストソング“鉄壁”が聴けなかったこと。これまでに描いてきた美しい寓話や物語をすべて破壊するほどの、圧倒的な力を持った丸裸の言葉がいつか放たれる日を楽しみに待っている。 写真は『蛇姫様』取材時の撮影風景。(井上)
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