Acid Black Cherryを初めて観た。そして思いました

Acid Black Cherryを初めて観た。そして思いました
土砂降りの雨の中、Acid Black Cherryの武道館へ行った。

初めてライヴを観させてもらった。

本当に素晴らしかった。
「作り手の姿勢の正しさ」がそのまま表現の強さに反映されるものをロックだとするなら、本当にロックなライヴだった。
すべての音、すべての動き、すべてのMCを通してやりたいことは、「とにかく相手を楽しませることだ」、という軸が猛烈に伝わってくる。
――ということと並んで、とにかく言いたいのは、なんて楽しいライヴなんだこれは、ということだ。

笑える、弾ける、踊る――そういった楽しさでもあるが、僕が言いたいのは、極めて上質なエンターテインメントであるという意味での「愉しさ」だ。
今回のツアーの主役になっているのは最新作『L-エル-』の楽曲だが、ひとりの女性の哀しみに満ちた人生を描いた物語が見事な求心力を持ち、ライヴ全体のエンジンになっていた。
哀しく、淡く、恐ろしく、そして美しい瞬間の連続。そんなスリリングな時間が、楽曲ごとにこの上なく贅沢にスパンスパンと切り替わっていく。
そのドラマチックなライヴのあり方は、エンターテインメントとしての愉しさそのものだ。

そして、yasuのあの、常に澄んだ冬の空気を思わせるイノセントな歌は、それ自体が圧倒的にエンターテインメントなものだ。
恐怖や怒りや哀しみ――そういった色の濃い感情をyasuの歌は等しく扱い、すべてをブリーチし、聴き手が自身を重ねる余地のある「情景」として伝える。
そうしてオーディエンスはいつの間にか『L-エル-』の物語の中に深く誘われていく。僕もそうだった。
それはとてもスリリングな体験だった。

本当に、行ってよかった。

『L-エル-』から1曲。

それと、「一番好きな曲は何?」と聴かれたら、「うーん」と100回くらい言っておずおずと答えるであろう名曲、”イエス”を貼っておきます。
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