素晴らしいライブだった。
ひとつの才能が見せる表現として圧倒的な完成度があった。
Aimerの声はAimer
以外にあり得ない唯一無二の存在だが、その声は淡い心象風景にリンクするというか、自分の中に眠っている懐かしさと絶妙にリンクしていく。
そのどこにもない声は、やがて、自分の中にあったはずの、親しみ深い懐かしい風景とつながっていく。
圧倒的な歌でありながら、どこか優しい温度がある彼女の声は、そんな独自のメカニズムをもたらしてくれる。
その独自のメカニズムの精度は今日、ツアーファイナル公演において、ある高みにたどり着いたように感じる。
大げさかもしれないが、今日のこの2時間のライブこそがひとつの素晴らしい作品のようだった。
Takaや野田洋次郎といったクリエイターと様々なコラボを果たしたアルバム『daydream』の収録曲がキーポイントになっているライブだったが、
Aimer自身がこのツアーを経て、数々のコラボ曲と誠実に対話をし、たくさんのアプローチを試してきたのだろう。
「新機軸」として歌われるのではなく、どの曲もすでにAimerスタンダードのひとつとしての説得力を持っていた。
歌い手としてのスキルの高さもさることながら、曲に対するひとりの人間としてのスタンスが誠実なのだろうと、あらためて思う。
いずれにしても、Aimerという無二のシンガーが巨大な普遍性についに手をつけた記念すべきツアーになったのではないか。
本当に、素晴らしいライブだった。
Aimerの国際フォーラム公演を観た
2016.11.06 21:18