シュープリームスのように歌いクラッシュのように歩く

シュープリームスのように歌いクラッシュのように歩く

大統領の式典にミュージシャンが大挙してお祝いに出かけるような現在からすれば、
80年代、一部のブリティッシュ・ロッカーたちが
労働者たちといっしょになって「運動」に汗を流していたというような図は
想像しにくいかもしれない。
というか、ポップイズムが究極を極めたあの80年代こそ、
ロックが政治運動の現場に身を投じていた、
最後の時代だったといえるかもしれない。
海の向こうからかろうじて聞こえてくる、
そのような運動(そう、それは主に炭坑労働者たちの運動だった。って、
炭坑、という時点でものすごく時代を感じるけど)は、
言葉の字義通りに体制と敵対的で、だからだったのか、
ものすごく崇高なものに思えた。

そんな運動の中心にいたのは、
やはりパンクをサバイブしてきた連中で、
なかでもスタイル・カウンシルを率いていたポール・ウェラーは
かかせない人物だった(というか、あの当時、たいていのミュージシャンは
インタビューで政治について悪態をつくのも定番だった)。
そして、ここに紹介するTHE REDSKINSもまた、
そうした運動とともに生きていたバンドのひとつだった。
フロントマンのクリス・ディーンは、
変名をつかってNMEでライターもやっていた。
そのクリスは、「シュープリームスのように歌いクラッシュのように歩く」バンドに
なりたいと考えていた。

パンクでありながら、ソウルであり、
ロカビリーでもあったその音楽は、十二分に黒っぽく(ホーンがまたいいのだ)、
だから、燃え上がるようであり、どこかせつなくもあった。
この独特の濃さは、いまのバンドからは感じ取ることはできない。

写真は、1986年に発表された彼らの唯一のアルバム
「NEITHER WASHINGTON・・・NOR MOSCOW」。
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