メトロノミーはカロリーオフである

メトロノミーはカロリーオフである

アゲアゲを強要するステロイドなダンス・フロアをまるで拒否するかのように、
そこにメランコリックな一石を投じた画期的アルバム『NIGHTS OUT』からほぼ1年、
メトロノミーが新曲を引っさげ帰ってきた。

サマーソニックでは新編成のバンド・スタイルとなっていた彼らの新作はダブルAサイドEP、
タイトルは『NOT MADE FOR LOVE/DO THE RIGHT THING』。
リミックスも含めて7曲入りの40分30秒。

「DO THE RIGHT THING」はこれぞメトロノミー節というべきナンバーなのだけど、
1曲目に収録された「NOT MADE FOR LOVE」がいい。

もともと強度のビートではなく「小さなビート」で人の内側をヴァイブさせてきた彼らだけど、
このニュー・チューンはさらにその方向を推し進めたもの。
というか、シンプルなファンクネスを突き詰めた結果、
その先でさらなる文学性を獲得してしまったとでもいうような。
たとえば、スライ&ファミリー・ストーンの「ラニング・アウェイ」がそうであるように、
優れた肉体性は同時に並外れた精神性を語ってしまうような、
そんな誰もができることではないことを、
ここでメトロノミーはやってのけているのだ
(その特別性は、同曲に施された3曲のリミックスがまったく「そうなっていない」ことでもよくわかる)。

そして、そのような音のカロリーオフな調合は、時代の要請でもあるような気がする。ヘビロテ中。
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