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    ウェイン・コインの天才と律儀

    ウェイン・コインの天才と律儀

    いよいよ海外では今週、日本では来週リリースの運びとなったフレイミング・リップスの新作『エンブリオニック』(写真)。
    ここ3枚のオリジナル・アルバムで追求されていた構築主義的アプローチから一転、
    曲になるかならないか、その始原のモーメントをふたたびとらえんとするかのような
    実験性と冒険心に満ち満ちた意欲作は、
    結果、「そのような生成の瞬間」に蠢くサイキックな胎動を見事につかまえた怪作となった。
    リップスが1999年の『ザ・ソフト・ブレティン』以降鳴らしてきたファンタジックなロックは当時どこにもなかったものだったけど、
    2009年に鳴らした『エンブリオニック』のイリュージョナルなサイケデリックもまた、今、どこにもないものなのだ。

    というわけで、18曲2枚組の大作として発表されるこの『エンブリオニック』なのだけど、
    実は通常盤は「1枚組」としてリリースされることに変更されたという。
    このあたりの変更は急遽決まったようで、だから、いま世に出ているインタビューなどでは「2枚組」としてウェイン・コインが答えているのだけど、どうしてそうなったのか、日本のワーナーの担当者がウェインに直接メールをしたところ、即座&律儀に本人が返信してきたそうなので紹介したい。以下、本人の回答。

    アルバムは2枚組のCDとしても、また2枚組のアナログ・レコードとしてもリリースされる(昨晩、レコードを見たばかりなんだけど、きれいだったよ)。それに4枚組としてもリリースされるし、2枚組のCDに24ビットDVDが付いたセットもあって、これはフェイク・ファーのパッケージに入っているんだ。これら全てが同時に発売されるんだけど、買う人にとって出来るだけ買いやすくするために、それに日本だとCDの値段が高いということもあり、1枚組のものも発売することにしたと。それだけの理由なんだけど。
    でも、そもそもこの作品は2枚組として作られた。デジタル配信で1曲ごとに購入されようが、このコンセプト、ストーリー、そしてこの音楽的体験は、ずっと2枚組として存在していくんだ。だから、これまでの取材で喋っていたことにも変更はない。ややこしくなって申し訳ないけども。

    だそうです。言うまでもないけれど、こういう「質問メール」に律儀に返事を返してくるミュージシャンは、そうはいない。
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