9月10日にLAでラスト・ギグを終えたNine Inch Nailsことトレント・レズナーが、
ツアー機材をそっくり売ってしまうと発表した。それもe-Bayで。
楽器はもちろん、アンプから何から何まで。
もちろん、「もう要らないから」だ。
理屈ではわかるけど、なんかすごいわ。

レコード会社との契約から離れたトレントの活動については、いつも驚かされてきた。
作品の量産、ツアーの多彩な企画、ファンが求めればいったん発表したこともナシにしてまた始めたりといったように、吹っ切れたという言葉がこれほどリアルに、そしてなんだか爽快なものとして実現されている様は、ロックにおける自由とはこんなふうに健全で正しく行動されるのだと教えられているような気がする。

前にも書いたけど、もちろんトレントは、こんな人間じゃなかった。破滅的で刹那的で、いまの真逆だった。そんな彼が今のような状態になっていった、その理由はロックである。今のトレントを見ていると、ロックは病的ではなくて、病気を治すのだと思う。