デヴィッド・ボウイの新作について、プロデューサー、トニー・ヴィスコンティが語る
2013.01.10 10:00
デヴィッド・ボウイの10年ぶりのニュー・アルバム『The Next Day』について、長年の盟友であるプロデューサー、トニー・ヴィスコンティがBBCのインタヴューに応えている。
1960年代の『スペース・オディティ』以来、『世界を売った男』、『ヤング・アメリカン』、『ロウ』、『ヒーローズ』、『ロジャー』、『スケアリー・モンスターズ』といったボウイにとってエポックとなった名作の数々を、2000年代に入ってからは『ヒーザン』や『リアリティ』で、カムバックするまでの「最後のボウイ」と行動をともにしてきたトニー・ヴィスコンティは、この『The Next Day』の制作に2年を費やしていたことを明かしている。
「(「Where Are We Now?」については)私はこの2年間というもの、ニューヨークのストリートを歩きながら、ヘッドホンで聴いてきたものなんだ」「飽きないんだね。私が思うに、この曲はアルバムの中でも特に力強くて美しいものだ。もし、新作に人々がかつてのボウイを見つけようとしたら、発見するだろう。もしイノヴェイティヴで、新しい方向性のボウイを見つけようとしたら、それも発見するだろうね」
また、ヴィスコンティは、新作のリード・トラックとして「Where Are We Now?」をボウイが選んだことについては驚いたと語っていて、同曲はおそらく唯一といっていいデヴィッド・ボウイ自身をかなり反映した曲になるだろうと続けている。アルバム全体としては「かなりロック・アルバムになっている」としていて、「なぜデヴィッドはこのとてもゆったりした、美しいバラードから始めたんだろうか? 強烈なやつから始めることだってできたのに」「次に聴く曲は、かなり違ったものになると思うよ」と語っている。
レコーディングに関しては、大抵は午後に1,2曲を手がけるというもので、優れたロック・サウンドになるまで磨きあげるという作業を続けたといい、ボーカル・トラックもリリックもなかったのだとか。このやり方は、『世界を売った男』以来、ずっと続けてきたことで、「アプローチの仕方を、ボウイは変えなかった」と語っている。
また、現時点では最後となっている2004年のツアーが健康状態を理由に中止になっていたことについては、「私はとても元気で幸せそうなボウイとスタジオで仕事をしていたよ」と、ボウイの現状についても付け加えている。