カニエ・ウェストが2020年の大統領選挙に立候補すると正式に発表。イーロン・マスクも全面支持表明。実際可能なのか?

カニエ・ウェストが2020年の大統領選挙に立候補すると正式に発表。イーロン・マスクも全面支持表明。実際可能なのか? - pic by AKEMI NAKAMURApic by AKEMI NAKAMURA

カニエ・ウェストがアメリカ独立記念日である7月4日に、2020年の大統領選挙に立候補すると発表した。


ツイートの中でカニエは、「俺たちは今、神を信じ、俺たちのビジョンを統一し、俺たちの未来を築くことで、アメリカの約束を実現しなくてはいけない。俺はアメリカ大統領に立候補する!#2020VISION」と宣言している。

これを受けて、イーロン・マスクが「全面支持する」とツイート。


また妻のキム・カーダシアンも絵文字をツイート。


数日前にはイーロンと会ったところをカニエがツイートしていた。


ちなみに、その写真を撮ったのがグライムスだったと、後ろのガラスの反射で判明。ファンが突っ込みを入れまくったが、彼女が「そんなこと言ってる暇があったら、投票の登録をしろ」とインスタでコメントしていた。

カニエ・ウェストが2020年の大統領選挙に立候補すると正式に発表。イーロン・マスクも全面支持表明。実際可能なのか?

カニエは以前から大統領に立候補するとは言っていたが、まさか本当に立候補するとは誰も思っていなかった。だから言ったのでは、とも思うが、コロナ禍で、Black Lives Matterの最中の非常に奇妙な独立記念日に、当然この発言は大騒ぎとなった。わざわざ独立記念日に発表するのがまたカニエらしい。しかしメジャーなニュースメディアも取り上げるほど話題にはなっているが、現時点では、アメリカ全体的な反応としては、誰も本当だとは思っていない。

ちなみに実際可能なのだろうか?

まず、カニエが立候補すると正式に届け出を提出したのかはまず不明。

それで提出していたとしても、いくつか問題がある。すでに共和党、民主党の大統領候補は発表されているので、独立で立候補ということになる。その場合、投票用紙に名前が記載されるためには各州の締め切りがある。ニューヨーク州、テキサス州、ニュー・メキシコ州などいくつかの州ではその締め切りが過ぎている。

ただしその州でも、投票者が投票用紙に彼の名前を書いて提出すれば有効となる。そしてその他の州はまだ間に合う。キャンペーン資金とか、キャンペーン・スタッフなどの問題があるが、彼自身億万長者だし、イーロン・マスクも全面支援なら問題ないのかも?

つまり、本当に立候補する気なら、物理的には可能だ。

カニエは最近大きな話題が多い。

1)新作発表

まず、ニュー・アルバム『God's Country』の発売を発表し、その中からシングル"Wash Us In The Blood"のMVを発表したばかりだ。始まった瞬間から警察による暴力の映像が流れ、白人が住むエリアをジョギングしていただけで殺されたAhmaud Arberyが走る姿が流れるなど、最後まで非常に緊迫した映像になっている。

曲は『イーザス』時のカニエと「Holy Spirit, Help Now」とラップし、最近のスピリチュアルなカニエを結びつけるような、そうきたか、という警告を鳴らすような曲になっている。


2)GAPと10年契約

さらに、カニエは、昔バイトをしていたこともあるGAPのクリエイティブ・ディレクターとして10年間の契約をしたばかりだ。この少し歪んだロゴも発表済みだ。


彼が「日産に乗って買いに来ていた」というシカゴのGAPストアの前には、巨大な手書きメッセージも掲げられていた。


GAPはしばらく売り上げが落ち込んでいたが、この発表で株価がなんと42%も上昇した。YEEZY Gapのラインは、2021年には発売されることになっている。カニエが本当に大統領に立候補するとなると、この契約は一時停止しなくてはいけなくなる。

それは起きないだろうということで、立候補はないのでは、と言っている人が多い。


3)キム・カーダシアンが億万長者に

また、カニエは4月に億万長者となったが、妻のキム・カーダシアンは、自分の化粧品ブランドKKW Beautyの株の20%をCoty Inc.に売り、彼女のビジネスが10億ドルの価値となった。カニエは、妻が億万長者になったとツイート。反感を買っていた。


4)カニエの大統領立候補歴史

カニエが、最初に大統領に立候補すると言ったのは、2015年のMTVビデオ・ミュージック・アワードで、"マイケル・ジャクソン・ビデオ・ヴァンガード賞”を授賞した際のスピーチでだ。長いスピーチの最後をこう締めくくった。

大事なのはアイディアだ。新しいアイディアだ。アイディアを持っている人だ。真実のアイディアを信じる人達だ。それで、その通り。この時点でもう予想できていたと思うけど、俺は2020年に大統領に立候補すると決めた


そこでみんなが笑ったので、カニエは不機嫌になっていた。それが今も大統領になりたいと言っている理由のひとつな気がする。人に君にはできないと言われると大きく反応するのだ。

5)ホワイトハウス訪問

この後2018年に、カニエは、"Make America Great Again”のキャップをかぶり、前代未聞とも言える、ホワイトハウスの大統領執務室を訪問している。


6)立候補は2024年

また、2019年11月に行なわれたFast Companyのイベントでは、今の大統領の再選を考えてか、自分が大統領に立候補するのは2024年だと言っていた。自分は新しい職をたくさん作ると言っていた。


7)現大統領に投票する

今年発売されたGQ誌の5月号表紙でも、今の大統領のおかげで自分の持っている不動産の価値が上がったので、今の大統領に投票するとまで言っていたばかりだ。またワイオミングにYeezy本部を移すことで、ワイオミングの仕事を増やすとも語っていた。



8)カニエが公式に億万長者に

また4月の終わりには、Forbes誌がカニエが公式に億万長者になったと報道していた。


アメリカでは、カニエは本気で言っているわけではないというのが多くの見方だ。そもそも大統領になったらGAPとの10年契約を一旦停止しないといけない。ただ、もし本当に立候補したら、ジョー・バイデンが今の大統領より有利な黒人からの票を奪う可能性があり、ジョー・バイデンに不利になると懸念している人もいる。

フィニアスは、ジョー・バイデンがカニエをファッション省の大臣に使命すればいいのに、という意見に激しく同意していた。


フリート・フォクシーズのロビン・ペックノールドは、「僕らが今どれだけ狂った時代を生きているのかを象徴している」とインスタのストーリーでコメントしていたが、それが一番もっともな反応かもしれない。

カニエは最新のツイートでは、以前から言っていてホームレスのためのシェルターが着々と作られている写真を投稿していた。『スター・ウォーズ』に影響されたデザインだ。


彼自身が、「2020ビジョン」と掲げているように、また「アイディア」が大事だと言っているように、個人的にはこの「大統領立候補」というのは、新しい「ビジョン」と「概念」を持つことを示す彼なりの方法なのだと思う。

そのアルバムにおいても、ツアーにおいても、MVにおいても、彼は常に人が観たこともないこと、やったこともないことを表現しようとしてきた。そして実際に素晴らしい作品を作ってきた。

本当に立候補してもしなくても、ここで表現したいのもそれなのだと思う。

そもそも今の大統領を支持しているのも、それが理由だと思うのだ。彼が大統領としては型破りだという、その「概念」を支持しているような気がする。彼自身なのではなくて.......そう信じたい。

この立候補も、彼の概念に限界はない、何をすることも可能なんだ、と型破りの方法で表現する手段なのではないかと思う。それを独立記念日に、コロナ禍で、Black Lives Matterムーブメントの最中で、花火が中継されていてもかき消されないメッセージとして、最もインパクトのある方法で発信するのが良くも悪くもカニエだ。

さて、どうなるのかは神のみぞ知る。
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