『ストレンジャー・シングス』のおかげでイギリス、アメリカなどで記録的な復活によるヒットをしているケイト・ブッシュの”Running Up The Hill”。
イギリスでは、チャート1位。アメリカでは先週は4位。アメリカでは彼女のキャリアにおいて初めてのベスト5位入りを果たした。おめでとうございます! ちなみに今週は5位だった。
そのおかげで、超レアなコメントまで発表したので『ストンジャー・シングス』ありがとう、という感じだったのだが。
https://rockinon.com/blog/nakamura/202907
今度はおそらくイギリスで1位となったため、
https://rockinon.com/blog/shibuya/203011
BBCラジオのインタビューに答えている。つまり声が聴ける。ここで「世界中で大騒ぎになっている」ことや、また「新世代が初めて聴いてくれたことが何より嬉しい」と語っている。ケイト・ブッシュが喜んでる声が聴けることがこちらとしても何より嬉しくて、聴いていて鳥肌が立つ(笑)。
BBCラジオはこちらから全編聴ける。ケイト・ブッシュのインタビューは、14分位から始まる。
https://www.bbc.co.uk/sounds/play/m0018gqv
以下内容要約。
●37年も経ってから1位を記録する気分。
「本当に最高だと思う。そもそも本当に素晴らしいシリーズだから、(自分の曲も)少しは注目されるかもとは思っていたけど、でもこんなことになるとは想像だにしてなかった。本当に嬉しい。ショッキングですらある(笑)。世界中で大騒ぎになったわけだから」
「何が一番嬉しいかと言ったら、全く新しい人たちが聴いてくれていること。ほとんどの人たちが、私をこれまで聴いたこともないような人たちなわけだから。それが最高だと思う。すごく若い人たちがこの曲を初めて聴いて発見してくれた。それって本当にスペシャルだと思う」
●初めてこの曲を聴いた新世代の人たちに、この曲は何についてだと説明するか?
「それぞれが好きなように聴いて欲しいけど、でも書いた時に思っていたのは、男性と女性がそれぞれの立ち位置を取り換えてみると言うこと。相手の立場になったらどう感じるのか知るためにね」
●元々のタイトルは?
「”A Deal with God” だったんだけど、レコード会社がそのタイトルではラジオでかけてもらえないと心配して変えた」
●自分でも聴き返してみたか?
「自分の曲を聴き返すことは普段は絶対にしないんだけど、時々何かの理由で聴き返さないといけないことが出て来る。でもこの曲はすごく長い間聴いていない」
●この曲が『ストレンジャー・シングス』の物語の中で、女性のキャラクターであるマックスを助けるということは大事だったか?
「すごく特別な方法で使ってくれたと思ってる。このシリーズを作っているダファー兄弟のおかげだけど。このシリーズのことはこれ以前から知っていて、大好きだった。この曲がすごくポジティブに使われていて素晴らしいと思った。マックスにとってはほとんどお守りみたいなものだから、すごく感動的ですらあると思った」
「それに音楽ってすごく特別なものだと思うから。その他のアートフォームと比べてもすごく違うし。音楽には人を感動させる独特の方法がある」
●息子さんは、お母さんが新世代に人気を得ていることをどう思っているか?
「すごくクールだと思っていると思う」
●息子さんも『ストレンジャー・シングス』の大ファンか?
「もちろん。でも、私たち全員が大ファンだから。第1シーズンが始まった時に、友達みんなから『ストレジャー・シングス』は観てる?って何度も聞かれて、だからそこまで言うならと思って見てみた。それ以来全シーズン一気見るするようになった」
「何が素晴らしいって、『ハリー・ポッター』シリーズとも似ているけど、始まったばかりの頃は、みんな小さい子供だったけど、物語が進むにつれて話がヘビーでよりダークになっていき、しかも子役だった俳優たちがみんなすごく才能のある若い俳優に成長していっている。こうやって何年もかけて彼らの成長を見続けていると、また違った繋がりを感じるものだから」
●ロックダウンの間は何していたのですか?
「ガーデニングをしていた」
最後に、
「みんな聴いてくれて本当にどうもありがとう。すごくエキサイティングだと思っている」
イギリスではシングルチャートの1位を獲得したが、彼女がこの前に1位を獲得したのは、”Wuthering Heights”で44年前! これは最も長い期間を空けての1位獲得で、さらに女性として最年長での1位。またこの曲の発売から37年後に1位を獲得するのも最長。
ちなみに、彼女は、この曲を自分1人で作詞作曲、プロデュースし、著作権も、この曲の全権利を彼女が100%持っている。この番組の中で、インタビューが始まる前にジャーナリストが解説しているけど、ケイト・ブッシュは、その前の女性アーティストが、テストステロンで支配された音楽シーンの中で、男性と似たような怒りや格好や表現方法で戦わなくてはいけなかったのに比べて、それは無視して女性として自分らしく登場したのが新しかったと言っていた。
さらにその前の女性アーティストたちと違い普通に中産階級で育ってきて、酷い苦痛や虐待、悲劇の中から生まれてきたわけでなかったとも。ビョークなども、いつも最も尊敬するアーティストとして名前を挙げている。
『ストレンジャー・シングス』は最新シーズンの後半が、7月1日から配信開始。
この予告編でも”Running Up The Hill”が使われているけど、その使われ方が上手すぎて感動する。この曲のみならずこの番組の全てに言えることだけど、そのオマージュの仕方の素晴らしさにダファー兄弟の才能と愛が表れている。
”Running Up The Hill”のオリジナルはこちら。
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